雑事要録とは? わかりやすく解説

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雑事要録

主名称: 雑事要録
指定番号 165
枝番 00
指定年月日 1997.06.30(平成9.06.30)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 古文書
ト書
員数 32
時代区分 室町
年代
検索年代
解説文:  『雑事要録』は文明七年一四七五)から大永四年(一五二四)にかけての近衛家経営収支記述した記録で、「雑事要録」と「雑々記」からなる
 いずれも体裁反故文書半截して紙背袋綴状に用い、紙撚で仮綴した横本である。
 このうち「雑事要録」は文明十年一四七八)から永正二年(一五〇五)までの二三冊が時代追って存するが、文明十二十四文亀年分を欠く。本文はほぼ同筆で、『後法興院記にみえる関白近衛政家筆跡一致する。しかし、第二十三冊の永正年記は、六月十九日政家じており、その大部分家司の筆になるものとみられる
 記述は、一家領、二米銭事、三八朔事、四自處礼物事、五遣處々物事、六下行物事などの項目別になされ、このほか殿下渡領文明十一年)、東山御移徙御礼馬代文明十二年)など必要に応じて項目を掲げる。
 一家領は、各年次について、殿、富家殿以下の家領掲げ戦国期一一五か所を数えた近衛家領の具体変動伝える。二米銭事は、政家貸し付けた米や銭の帳簿である。三八朔事は、内裏伏見殿東山殿室町殿一乗院門跡等との間の八朔贈答品を記す。四自處礼物事は、諸家より到来の諸品、銭について記し、五遣處々物事は、同様に諸家遣わした品目を記す。これらは禁裏から幕府奉行人宗祇などの連歌師河原者に至る政家交流広さ伝えている。六下行物事は、毎月下行相手金額などを記している。
 「雑々記」は新補茶表紙装した九冊からなるその構成は「雑事要録」とほぼ同じだが、記事の内容は「雑事要録」ほど詳しくない。うち第二十七から三十の四冊は、その内容からおおよそ「雑事要録」明応三年分(第二十七二十八)、明応十年分(第二十九三十)の二冊分に相当するものとみられる。「雑々記」は「銭米部類記」などから知られるように「雑事要録」の記事一部抜書、あるいは部類した性格をもつ。
 このうち第二十四「雑々記」は、後の一乗院良誉生誕記事等を記すが、文中に「内府息」を「余孫也」と記すことや、その筆跡から記主政家の父房嗣であることが知られる。房嗣はまた文明十年から同十二年に至る信楽庄、宇坂庄の年貢収入書き上げた一冊(第二十五冊)も記している。「大永三年雑々記」「大永四年雑々記」の二冊は、「雑事要録」に倣い殿以下の家領加地子得分に至るまで記したもので、その筆跡近衛尚通である。
 このように「雑々記」は房嗣の晩年から政家中心にして尚通に至る時代のものであり、その体裁内容も「雑事要録」とほぼ同一で、一部記事重複もみえることから、現状においては便宜「雑事要録」のうちとして、一括してその保存を図ることとした。
 以上のように「雑事要録」は関係文書少な十五世紀後半から十六世紀前半にかけての近衛家運営具体的に伝え記録であり、とくに当主政家等が自ら日常収支克明に記している点は価値高く、『後法興院記』『尚通公記』を補う史料として貴重である。



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