鉄の処女は実在したかとは? わかりやすく解説

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鉄の処女は実在したか

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 04:50 UTC 版)

鉄の処女」の記事における「鉄の処女は実在したか」の解説

中世拷問具」として博物館にも展示されている鉄の処女であるが、実際に中世このような拷問具あったかどうかに関しては、存在記述したものが19世紀ロマン小説や、風聞に基づくものばかりで、公的な資料記録皆無な為、その実在を疑う研究者も多い。 実在説論証とされる欧州各地展示されている実物も、ほとんどが19世紀半ば以降再現品である。ニュルンベルク鉄の処女も、19世紀作られオリジナル空襲焼失している。現存する鉄の処女はすべて18世紀末以後作られたものであり、伝説語られている中世オリジナル存在していないのである各地鉄の処女原型は、オーストリアの「ファイストリッツ城(ドイツ語版)」にあるものと、1857年ニュルンベルク作られたものの2種分けられる中世から近世にかけてヨーロッパで行われた恥辱の刑」と呼ばれる晒し刑用いられる懲罰具(拷問処刑具ではない)として、「処女マントドイツ語版)」、また「恥辱」と呼ばれたものがあったが、これは当時刑罰資料によれば受刑者から頭と足だけを出して市内広場に立たされる、というものである。 「酔っぱらいのマント」も参照 ビーレフェルト大学ドイツ語版)のヴォルフガング・シルト(ドイツ語版教授は、鉄の処女はこの恥辱内側に、19世紀になってからの針を付け、頭の部分を覆うよう改造されたものであるとしていて、以下のように、欧州各地鉄の処女調査検分し、すべてがニセモノだと断定している。 ファイストリッツ城にある鉄の処女は、城主ディートリッヒ男爵フランス革命時にニュルンベルクから購入し修復改造したもので、男爵オーストリアで上記恥辱に、17世紀ヴェネツィア流行したマリア像頭部と、内部付けたものとされるニュルンベルクにあったという鉄の処女は、1857年当地銅版彫刻師G・F・ゴイダーが、ファイストリッツ城にあったものを手本に、ヴィルトという錠前屋に作らせた何体かのうちのひとつである。1944年連合軍爆撃焼失した多数作られたゴイダーの再現品は見世物として珍重され欧州各地売られていったローテンブルク中世犯罪博物館鉄の処女は、釘を外して展示しており、これは釘の存在製造当初からのものであるか、後の改造よるものであるか、断定できないためと説明されている。これも構造的に恥辱改造品であり、ゴイダーが何体か作らせたもののひとつで、1889年ロンドン美術商がこれを買い、1968年オークション中世犯罪博物館競り落としたのであるイタリア拷問博物館 (Museo della tortura) の「ニュルンベルク処女 (La Vergine di Norimberga)」も、ゴイダーの作らせたもののひとつである。 ウィーン拷問博物館鉄の処女は、本体部分鉄製で、人形頭部固定され円筒形胴体部分のみが左右に開いて罪人入れるようになっているが、シルト教授はこれもおそらく後世模造品であるとしている。 日本では明治大学博物館刑事部門)に鉄の処女複製品展示・収蔵されている。これは本体鉄製となっていて、生存空間ほとんどないタイプである。あくまで複製品であって中世オリジナル品ではない。 シルト教授は以上の調査結果鉄の処女恥辱元に作られたものであり、「鉄の処女伝説根拠のないフィクションである」と結論付けている。 また、キリスト教徒である拷問執行者らが、彼らの崇拝対象である聖母マリア拷問道具意匠用いること自体そもそもあり得ない」との議論も強い。

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