転形論争とは? わかりやすく解説

転形論争

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/02 05:30 UTC 版)

転形問題」の記事における「転形論争」の解説

ポール・スウィージー第二次大戦中公刊した『資本主義発展理論』(1942年)において、先のボルトケヴィッチの数理的アプローチを、ボルトケヴィッチ自身意図反して、むしろ転形問題への有力な解決方法として取り上げたため、ここに転形論争が巻き起こった森嶋通夫とカテフォレスは、この論争が「事実上経済学あらゆる分野での最も長い論争のひとつ」と評価した永田聖二は「転形論争は、スウイージーの問題提起発した1950年代第1期と、1960年スラッファ『商品による商品の生産』刊行洗礼受けたのち、『資本論100周年契機とする、いわゆるマルクス・ルネッサンスに触発され展開された、1970年代第2期分けることができる」 としている。 第1期は、第二次大戦後しばらく主としてイギリスの『エコノミック・ジャーナル』誌上などを中心に行われた。その主な論客としてドッブ、ウィンターニッツ、ミークシートンなどが知られている。 第2期は、1960年代から70年代にかけてであり、この論争は、ポール・サミュエルソン等もコメント寄せるなどの広がり見せ今日至って多く研究成果発表されるフィールドとなっている。同時期に日本でも活発な論争見られた。価値から生産価格への転形当たってマルクス自身価値実体に基づき総資本対総労働立場から妥当する労働価値論から個別資本競争考察する生産価格転化しても、 総生産物価値=総生産価格剰余価値=総利潤 の2命題成立する主張した しかし、これは総生産物と総純生産物とが比例する場合、あるいは労働価値生産価格とが比例する場合(たとえば、資本の有機的構成等し場合)などの条件ない場合)には一般に成立しないこのような分析には森嶋通夫置塩信雄数理マルクス経済学貢献大きかった一時期価値から生産価格求め手続き存在をもって価値生産価格より根本的なのであるという主張もあったが、これも任意のベクトルから出発しても同じ生産価格収束することが示されマルクス当初意図実現しないことが判明した1980年代以降欧米の転形論争は第3期入ったといわれる。その中心議論は、新解釈New Interpretationおよび単一体系解釈Single System Interpretationである(Simultaneous SSITemporal SSIとの対立などといった当事者以外には理解しがたい対立まで生まれている)。LipietzやFoleyらは、マルクス価値概念総資本における「集計量」として捉えるべきものであり、個別商品価値という概念価値規定の中から排除している。 竹田茂夫 は、単一体系解釈は、労働価値説というより対応労働価値論考えるのが公平であろう指摘している。吉村信之 は、「単一体系特有の概念は、必然的に投下され労働生産体系賃金財にどのように反映されているのかという中身欠いた総付価値(価格)と社会的労働との比率を示すそれ自体としては無内容符号ならざるを得ない」(p.84)と批判している。「新解釈」および「単一体系解釈」は、日本でも研究されてつつあるが、批判的な論説すくなくない

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