転帰と予後
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/11 02:32 UTC 版)
根管治療を受けた歯が治癒しない場合もある。例えば、歯科医が歯内の全ての(汚染された)根管を発見しきれなかったり、全てを洗浄充填しきれなかった場合である。上顎大臼歯では、歯根が3本だけでなく4本ある可能性が50%以上あるが、4本目の根管はしばしば「近心頬側第二(MB2)」と呼ばれ、確認が非常に難しい傾向があり、それを視認するのに特別な器具と倍率が必要になる事も多い (最も一般的には上顎第一大臼歯に見られ、MB2根管の存在がその歯の平均76-96%にあることを複数の研究が示している)。この感染した根管は、継続的な感染や歯の「フレアーアップ」を引き起こす場合がある。どの歯にも予想より多くの根管がある可能性があり、根管施術が行われる際にこれらの根管が見落とされてしまうことがある。時には根管が一般的な形状ではなく、洗浄および完全充填ができなくなっていて、感染した物質の一部が根管に残ってしまう場合もある。また時には、根管充填材が歯根尖まで完全に届いていなかったり、本来あるべきほど根管を密に充填していなかったりもする。 根管の治療中に歯根が穿孔してしまい、歯を充填するのが困難なこともある。この穿孔はミネラル三酸化物と呼ばれる天然セメントから派生した歯根修復材(日本ではよく「MTAセメント」と呼ばれる)で充填される場合がある。多くの場合、 専門家であれば失敗した根管を再治療することが可能で、最初の根管施術から数年後にはなるものの、それらの歯は(再治療によって)やがて治るという[要出典]。 しかしながら、歯内治療を受けた歯の生存または機能性は、根尖治癒だけに限らず歯内治療の最も重要な転帰の側面である。根管腔の洗浄に一般的に使用されている物質では根管の滅菌が不完全だと、最近の研究は指摘している。根管治療に続いて適切に修復された歯は、97%近い長期成功率を生み出す。根管治療を受けた160万人超の患者を対象とした大規模調査では、術後8年経過して97%が歯を保持しており、再治療、根尖手術、抜歯といった厄介な出来事の大半は、最初の歯内治療後から3年以内に起こっていた。歯内治療を受けた歯は、主に修復不可能な齲蝕破壊が原因で抜歯する傾向があり、他には歯周囲を囲む歯冠隙間の不適合が細菌の侵入を招いている原因の場合や、頻度は少ないが歯内治療の失敗、垂直歯根破折、穿孔(施術失敗)といった歯内治療に関連した理由による抜歯もある。
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