転得者に対する詐害行為取消権の要件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/17 08:43 UTC 版)
「詐害行為取消権」の記事における「転得者に対する詐害行為取消権の要件」の解説
債権者は、受益者に対して詐害行為取消請求をすることができる場合において、受益者に移転した財産を転得した者があるときは、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める場合に限り、その転得者に対しても、詐害行為取消請求をすることができる(424条の5)。 その転得者が受益者から転得した者である場合その転得者が、転得の当時、債務者がした行為が債権者を害することを知っていたとき。 その転得者が他の転得者から転得した者である場合その転得者及びその前に転得した全ての転得者が、それぞれの転得の当時、債務者がした行為が債権者を害することを知っていたとき。 2017年改正前の民法の判例(最判昭和49年12月12日集民113号523頁)ではいったん善意者が財産を取得した場合でも転得者が悪意であれば詐害行為取消権の行使を認めていたのに対し、破産法170条1項はいったん善意者が財産を取得すると以降の転得者に対して否認権を行使できないとしている。 2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)は、転得者に対して詐害行為取消請求をする場合、転得者(転得者が複数いるときは、すべての転得者)が転得した時に債務者の行為が債権者を害することを知っていたことが必要とし、破産法と同様にいったん善意者を経由した場合には詐害行為取消請求を認めないとした。ただし、転得者の悪意の対象は、自己の前者の悪意ではなく債務者の行為の詐害性であるとし、破産法で採用されていた「二重の悪意」の要件はとられず破産法も民法に合わせて法改正された。
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