転得者がいる場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/02 09:15 UTC 版)
所有権移転登記の抹消登記請求 A→B→Cと不動産が売買され、Cに登記が移転したが、A・B間の売買が無効であった場合など、Aは、所有権に基づき、登記名義人であるCに対して抹消登記請求をすることができる(大審院明治41年3月17日連合部判決民録14輯303頁)。もっとも、この場合、Bの登記は残るので、AはBに対して改めて抹消登記請求をしなければならない。 所有権移転登記請求 上記の場合、Aは、Cに対し、真正な登記名義の回復を登記原因として、Aへ直接所有権移転登記をするよう求めることもできるとするのが判例である(最高裁昭和30年7月5日・民集9巻9号1002頁・最高裁判例情報、最高裁昭和32年5月30日判決・民集11巻5号843頁・最高裁判例情報、前掲最高裁昭和34年2月12日判決。これも、物権変動の過程を登記に正確に反映しなくなるとして反対説が多い)。 なお、真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記請求は、真正の権利者が元登記名義人ではないときにも認められる。たとえば、登記名義人AからBに不動産が売買されたが、AからCに所有権移転登記がされてしまった場合、Bは、Cに対し、真正な登記名義の回復を原因として所有権移転登記請求をすることができる(昭和39年2月17日民三発125号民三課長回答)。 抵当権設定登記の抹消登記請求 AからBに抵当権が設定され、BがCに抵当権を譲渡したが、A・B間の抵当権設定契約が無効であった場合、Aは、登記名義人であるCを相手方として抵当権設定登記の抹消登記請求をすることができる(前掲大審院明治41年3月17日判決)。
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