転得者の地位
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 03:45 UTC 版)
善意の転得者の地位94条2項は虚偽表示という外観を信頼した善意の第三者を保護する規定であり、保護の要請は直接の善意の第三者の場合であっても善意の転得者の場合であっても変わりない。したがって、善意の転得者は94条2項の「第三者」に含まれ保護される(通説・判例)。 悪意の転得者の地位善意の第三者からの悪意の転得者の地位については以下のように学説が対立している。 絶対的構成説(絶対的効力説。多数説・判例)いったん善意の第三者が現れれば絶対的に所有権が移転し、以後は悪意の転得者であっても保護される。法律関係の早期の安定を図る趣旨である。善意者からの悪意の転得者が保護されるが、善意者の追奪担保責任は追及されず、結果として善意者を保護することになる。 信義則により保護の対象から除外する転得者の識別基準を善意・悪意以上に求めることになり基準があいまいになるとの批判がある。 相対的構成説(相対的効力説)虚偽表示の効力を第三者ごとに相対的に判断し、善意の第三者が介在していた場合であっても悪意の転得者は常に保護されず具体的な公平に合致する。 法律関係が複雑になり、結果として善意の第三者に不利益が生ずる可能性があるとの批判がある。
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