根管充填
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 05:10 UTC 版)
標準の充填材はガッタパーチャで、これはグッタペルカノキの樹液から調製された天然ポリマーである。 標準的な歯内療法技法は、仮封用セメントと共に円錐型のガッタパーチャポイントを洗浄された根管に挿入するものである。別の技法は、溶融または加熱軟化したガッタパーチャを使い、それを次に根管路に注入ないし圧接する。 しかしながら、ガッタパーチャは冷えるにつれて収縮するため温熱技法は信頼性に乏しく、時には技法の組み合わせが用いられる。ガッタパーチャは放射線不透過性なので、その後根管の通路が完全に埋められて空隙がないことを(レントゲン撮影で)確認することができる[要出典]。 代替の充填材は、1950年代初頭にアンジェロ・サルジェンティによって発明された。充填材は長年にわたり数種類の調製(N2、N2ユニバーサル、RC-2B、RC-2Bホワイト)が行われているが、いずれもパラホルムアルデヒドを含んでいる。 パラホルムアルデヒドは、根管内に注入されるとホルムアルデヒドを形成して、これが通路に浸透して殺菌を行う。ホルムアルデヒドは理論的には無害な水と二酸化炭素に変換される。一部の調査によると、この手法の結果はガッタパーチャを用いて行われた根管手術よりも優れている。しかしながら、スウェーデンの医療技術評価評議会によると、疑念の余地なき科学的研究が欠如しているとのことである[要出典]。 稀なケースとして、(充填シーラーの)ペーストが他の材料と同じ様に、根管を過ぎて周囲の骨に入ってしまう事がありうる。 これが起こる場合、ホルムアルデヒドは直ちに無害な物質に変わる。 血液は通常1リットルあたり2mgのホルムアルデヒドを含み、身体は数秒でこれを調節する。過剰充填の残りは徐々に吸収され、最終的な結果は一般に良好である。1991年に、アメリカ歯科医師会(ADA)の歯科治療学評議会はこの治療法が「非推奨」であると再決議し、米国の歯科学校では教えられないとした。 歯内療法における科学的証拠はあるものの、まだ不足している。こうしたサポートの欠如にもかかわらず、サルジェンティの技法はN2がより安価で少なくともガッタパーチャと同じくらい安全だと信じる人達に支持されている。 歯根尖部周囲の膿瘍の酸性度によって麻酔の不活性化が起こるため、鎮痛管理を成し遂げるのが難しいことがある。 時には、膿瘍が排出されて抗生物質が処方され、炎症が和らいだ時に施術が再試行されたりもする。ドレナージ(排膿)して圧力緩和を促進することができるよう、その歯の歯冠を取り払ってしまうこともありうる[要出典]。 クラウンや類似の被せ物をセメント固定する前に歯の破折を防止する手段として、根管治療が施された歯の噛み合わせを和らげることがある。 時には歯科医は、感染した歯髄を全て取り除いてから、歯にドレッシング材や仮封材を施すことで歯の予備治療を行う。これは抜髄処置と呼ばれる。また歯科医は神経組織の90%を含む歯髄の冠状部だけを除去し、歯根内の歯髄を手付かずのまま残したりもする。「生活歯髄切断法」と呼ばれるこの施術は、本質的に全ての痛みを取り除く傾向がある。 歯髄切断法は感染した乳歯(第一生歯)のための比較的決定的な治療法であるかもしれない。抜髄処置および歯髄切断法の施術は、根管治療を終えるにあたっての経過観察の来診まで痛みを排除することを目的としている。 痛みのさらなる発現は、感染が継続中であるか生きている神経組織が残っていることを示すことになる[要出典]。 その部位を徹底的に殺菌するため、一部の歯科医は水酸化カルシウムペーストで根管を仮封することを決定したりする。この強塩基は消毒および周辺組織の炎症を減らすため1週間以上その場に残され、患者は施術を完了するために2度3度目の往診に戻る必要がある。 しかしながら、この複数回診のオプションからは何の効用も現れず、実際には1回の施術のほうが複数回よりも患者の転帰が良好になることが(統計的に有意ではないが)示されている。
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「根管充填」の例文・使い方・用例・文例
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