根粒の構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/06/06 04:30 UTC 版)
宿主植物もいくつかの酸素防御機構を持つ。すなわち根粒全体として見た場合、酸素防御は植物側の機構とフランキア側の機構(ベシクル形成)が協調することにより成し遂げられているが、それらの貢献度のバランスは植物種により異なる。また、植物側の酸素防御機構は種によって異なる。 ハンノキ属の根粒は皮目(通気組織、lenticel)が多く、それらから通じたエアスペースが根粒内に網の目のように広がっている。しかし、エアスペースから隔離された感染細胞群も存在する。感染細胞中ではベシクルがよく発達しており、フランキア自身が積極的に酸素防御を行っている。加えて、呼吸活性を高めることで酸素濃度を低めている。 モクマオウ属の根粒は先端から根が伸びており(根粒根)、そこから大気を取り込み、根粒中のエアスペースへ送り込む。しかし感染細胞周辺にはエアスペースはほとんどみられない。加えて感染細胞の細胞壁はリグニン化しており酸素の透過性は低い。さらに感染細胞にはヘモグロビンタンパク質が発現しており、遊離酸素の濃度を低下させる。このようにモクマオウは植物側の酸素防御機構が充実している。よって根粒中でのフランキアはベシクルを形成しないにもかかわらず窒素固定を行える。 ヤマモモ属の根粒は、根粒根とそれに通じるエアスペースの配置、感染細胞の細胞壁のリグニン化についてはモクマオウと類似している。しかし、感染細胞中のフランキアばベシクルを形成する。すなわち、ヤマモモの根粒はハンノキとモクマオウの中間的な様相を呈する。 ドクウツギ属の根粒は皮目からつながるエアスペースを持ち、通気性が高い。それにも関わらず、ベシクルの膜はそれほど厚くない。ベシクル細胞は感染細胞の中心部に密集しており、この構造が酸素濃度の低下に貢献すると考えられている。 ダティスカ属(Datisca)の根粒は根粒根につながるエアスペースを持ち、通気性が高い。ドクウツギ属と同様に、膜の薄いベシクルが感染細胞中央に密集した構造をとる。加えてベシクルの基部にミトコンドリアが局在しており、酸素防御に何らかの役割を持つと考えられている。
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