根粒菌との共生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 12:39 UTC 版)
ダイズを含む一部のマメ科植物は根に根粒もしくは茎に茎粒を持ち、根粒菌という細菌が共生している。根粒菌は植物からリンゴ酸などの効率のいい栄養分をもらって生活の場を提供してもらう代わりに、大気中の窒素を植物にとって使いやすいアンモニアに転換(窒素固定)する。窒素は植物にとって必須元素であり、肥料として取り入れる成分の一つであるが、自然界では一部の細菌と雷などでしか使用可能形態に転換できない。根粒菌はその能力が高いため、それを持つ植物は自ら窒素肥料を作ることができることになり、やせている土地でもよく育つものが多い。 大豆はかつては、地力涵養作物だと思われてきた。だが、実際は大豆は地力消耗作物であり、子実にタンパク質を多く含むため、多量の窒素を必要とするので、大豆の作付けは土壌中の窒素を消耗し地力の低下を招く。稲わらのみのすき込みの場合、大豆1作の窒素消耗量は水稲6作分の窒素消耗量に匹敵する。地力窒素の維持のためには、水稲作との輪作が必要である。大豆の生育に使われる窒素は、その3割が地力由来、6割が根粒菌由来、1割が施肥由来と言われている。 大豆は肥料がいらない作物だと思われがちだが、実は肥沃な土で栽培しないと収量が上がらない。特に根粒菌が固定した窒素の供給が盛んになるのは発芽後4週間からなので、それまでの栄養分を補ってやる必要がある。共生成立までの過程に於いて、Nodファクターと受容体による経路とIII型分泌系による経路の複数の経路があることが解明されている。
※この「根粒菌との共生」の解説は、「ダイズ」の解説の一部です。
「根粒菌との共生」を含む「ダイズ」の記事については、「ダイズ」の概要を参照ください。
- 根粒菌との共生のページへのリンク