財政・税制・貿易・医療
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 16:51 UTC 版)
「ドナルド・トランプ」の記事における「財政・税制・貿易・医療」の解説
財政面では、社会保障のための積極財政政策を唱える。 税制面では、法人税と個人の最高税率を引き下げて経済活動を促すと共に、年収5万ドル(約570万円)以下の夫婦世帯および年収2万5000ドル(約280万円)以下の単身者に対しては所得税を免除して国民の間の格差も是正するとしている。 経済格差については過去に拡大を止めるために民主党のバーニー・サンダース上院議員と同じく富裕層への課税を提唱したことがあり、政策スタンスはリベラルや民主党左派に近いとされた。また、ドッド=フランク・ウォール街改革・消費者保護法の廃止を掲げ、ウォール街への課税や租税回避対策とインバージョン規制を行うなどとしている。 グローバリズム拡散による単一市場に対しては否定的であり、保護貿易主義的とされる。TPPにも反対である。大統領就任からほどなく環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)からの離脱や、大西洋横断貿易投資パートナーシップ協定(TTIP)交渉の凍結がなされた。これにより、それまではアメリカとの貿易交渉を優先していた日本と欧州連合(EU)が、反保護主義を掲げて接近。長年停滞していた日本・EU経済連携協定交渉が急加速した。ただし、2018年1月25日に訪問先のスイスで受けた米テレビCNBCのインタビューで、就任時「永久に離脱する」としていたTPPへの参加を「より有利な条件であればやる」と復帰を検討する用意があるとも述べている。 これらの政策は中流の保護と低所得者の保護を含んでおり、共和党主流派の小さな政府・民営化・資産再配分の否定(自由主義・リバタリアニズム)と相容れないため、共和党や米財界から社会主義や隠れリベラルという批判を受けており、エスタブリッシュメント層からはポピュリズムや反市場・反企業と糾弾されている。実際にトランプは2016年の大統領選の時に明確にTPP脱退、製造業雇用の国内回帰を主張していたから、建築労組、石炭労組、自動車労組などの労働組合や一般労働者からも多くの支持を受けて勝利したとの観測がある。 医療保険改革では、PPACA(通称:オバマケア)に対して廃止を明言していたが、2016年大統領選挙後のオバマとの会談では全廃にせず一部を維持することを示唆した。トランプは自らのプランをサンダースが訴える単一支払者制度ではないとたびたび表明しており、オバマケアに反対している。トランプ陣営のスポークスマンは、「ユニバーサルかつ、自由市場に基づいて選択の幅を提供する社会主義的ではない制度」を用意するとコメントしている。 また、トランプは経済政策に関わる新設機関としてアメリカン・イノベーション・オフィス(英語版)(初代局長にジャレッド・クシュナー)、国家通商会議(初代委員長はピーター・ナヴァロ)、大統領戦略政策フォーラム(初代議長はスティーブン・シュワルツマン)などを設立した。
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