衆議院での審議と芦田修正とは? わかりやすく解説

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衆議院での審議と芦田修正

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 07:35 UTC 版)

日本国憲法第9条」の記事における「衆議院での審議と芦田修正」の解説

憲法改正草案案文枢密院可決され1946年昭和21年6月25日衆議院上程された。そして、芦田均委員長務め衆議院帝国憲法改正案委員小委員会においていわゆる芦田修正加えられた。 芦田修正第90回帝国議会衆議院帝国憲法改正小委員会での審議過程 において第9条加えられ修正であり、第1項冒頭に「日本国民は、正義秩序基調とする国際平和を誠実に希求し」の文言加えた。これは1946年2月3日マッカーサーホイットニー民政局長に示したマッカーサー・ノート における「日本はその防衛保護を、今や世界動かしつつある崇高な理想委ねる」が復活したもので、憲法前文2項の「平和を愛す諸国民の公正と信義信頼して、われらの安全と生存保持しよう決意した」と一連ののである考えられる。 第2項冒頭に「前項目的達するため」の文言入れた修正を指す。特に第2項冒頭修正指して用いられることもある。 第90回帝国議会衆議院帝国憲法改正小委員会1946年昭和21年7月25日から8月20日にかけて13回にわたって開催された。帝国議会提出された際の憲法改正案案文次のようなものである憲法改正草案第二章 戦争抛棄第九条 国の主権発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、他国との間の紛争の解決の手段としては、永久にこれを抛棄する第二陸海空軍その他の戦力は、これを保持してならない。国の交戦権は、これを認めない。 この案文については、積極的な印象がなく自主性乏しいとの意見出されたため、7月29日芦田委員長次のような試案提示した芦田試案第二章 戦争抛棄第九条 日本国民は、正義秩序とを基調とする国際平和を誠実に希求し陸海空軍その他の戦力保持せず。国の交戦権否認することを声明す。 第二前掲目的達するため、国権発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争解決する手段としては、永久にこれを抛棄するこのうち声明す」の文言について文語体であり口語体条文にはふさわしくないとして「宣言する」に改められた。7月30日小委員会金森国務大臣出席して開かれたが、この段階での試案案文次のようなものとなっていた。 第九条 日本国民は、正義秩序とを基調とする国際平和を誠実に希求し陸海空軍その他の戦力は、これを保持せず。国の交戦権は、これを否認することを宣言する第二前掲目的達する為め、国権発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 この試案では原案政府案)における第1項と第2項順序入れ替えられていたが、犬養健議員から第1項と第2項順序をもとの原案政府案)のままに戻し、その冒頭に「日本国民は・・・」の文言入れてはとの提案なされた。このほか、語尾の「宣言する」について、言い放つことで自主性が出るとして、「放棄する」に修正された。また、抛棄」の字句漢字制限の関係で「放棄」に改められた。。その結果として次のような法文となった日本国憲法第二章 戦争の放棄第九条 日本国民は、正義秩序基調とする国際平和を誠実に希求し国権発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争解決する手段としては、永久にこれを放棄する第二前項目的達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない1946年昭和21年8月24日衆議院本会議での委員長報告において芦田均いわゆる芦田修正について「戦争抛棄軍備撤退決意スルニ至ツタ動機ガ、 専ラ人類和協世界平和念願出発スル趣旨ヲ明カニセントシタ」ものである述べている。その後、この修正について芦田は、自衛戦力放棄しないための修正であり、このことは小委員会会議録にも書かれている発言している。ところが、のちに公開され小委員会速記録や『芦田均日記』からは修正意図このようなにあったかは必ずしも実証的には確認できないといわれる。ただし、国際法専門家である芦田自衛のための戦力保持可能性生じることとなった点について気付いていなかったとは思われないとみる見方もある。このようなこともあって芦田真意未だに謎とされている。 芦田真意問題は別として、総司令部極東委員会芦田修正結果としてdefence force」を保持することが解釈可能になったと考えられるようになったといわれる芦田修正について総司令部からの異議はなかったといわれる。これに対して極東委員会反応異なっていた。芦田修正については、自衛(self-defence)を口実とした軍事力armed forces)保有可能性があるとした極東委員会見解 が有名であり、この見解の下、芦田修正受け入れ代わりに文民統制条項civilian)を入れるよう、GHQ通して日本国政府指示し憲法66条第2項設けられることとなった

※この「衆議院での審議と芦田修正」の解説は、「日本国憲法第9条」の解説の一部です。
「衆議院での審議と芦田修正」を含む「日本国憲法第9条」の記事については、「日本国憲法第9条」の概要を参照ください。

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