至近要因-感情の脳科学とは? わかりやすく解説

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至近要因-感情の脳科学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 09:12 UTC 版)

感情」の記事における「至近要因-感情の脳科学」の解説

生理学的には、感情には身体感覚関連した無意識な感情emotion, 情動)と意識的な感情feelingもしくはemotional feeling)と分類されることが多い。意識的感情feeling)には、大脳皮質大脳表面とりわけ帯状回前頭葉関与している。無意識感情には、皮質下(脳の中心の方)の扁桃体視床下部脳幹加えて自律神経系内分泌系骨格筋などの末梢系(脳の外の組織)が関与する。しかし、感情情動皮質帯状回のみで成立する、という反論存在する(Rollsたち)。 emotionについては情動参照のこと。 たとえば我々が恐怖感じるとき、同時に脈がはやくなり、口が渇き手に汗を握るのを感じる。恐怖感じているのは皮質であり、末梢反応動悸など)を起こすのは皮質下である。しかし感情について考えるとき、両者切り離して考えることはできないアントニオ・ダマシオらは、スタンレー・シャクターらの感情の二要因説を発展させ、感情体験認識することは、刺激に対して発生した身体反応説明するために皮質作るストーリーであると主張している。例えば、被験者にアドレナリンを注射した後で不快な環境置いたところ、アドレナリンの副作用知らされていない被験者は、アドレナリンにより起こった動悸冷や汗などの反応環境のせいにし不快がったが、副作用知らせておいた被験者はアドレナリンのせいだと判断し不快さ少なかったという。つまり皮質が、身体の反応を、前後文脈照らし合わせて解釈し感情というストーリー作ったということになる。 (注)シャクターらは、感情2要因説を1960年代唱えたが、その後2要因となるような直接証拠得られなかったため、彼は自身仮説修正して生理的基盤(=情動)に基づいてその後感情形成される、という感情2段階説を唱えた1982年)。これを発展させたのが、Lazarusたちで、感情社会性含めたより複雑なものとして定義した罪悪感やきもち嫉妬、愛、なども含めた)。 マグダ・アーノルドの感情理論では、外界からの刺激に対して、まず危険であるか有益であるかを皮質下および帯状回無意識に判断し次に皮質でどう行動するかを判断する。その判断基づいて末梢反応交感神経興奮骨格筋緊張など)が起こり最後に皮質にてそれを意識的な感情として認識する。この説の根拠となる実験的証拠は、強い感情惹起する視覚刺激短時間(30ms以下)呈示すると、意識上は認識できないサブリミナル効果参照にも関わらず末梢では反応見られるという事実である。しかし意識に関して、どこでどのように感情意識発生しているか、という点については、いまだ諸説あり、詳細不明である。 補足1上記たような身体感情密接なつながりは、感情関係する日常的な言葉にもよくみられる例えば、「胸が痛む」、「断腸の思い」、「血湧き肉躍る」、「手に汗握る」、「胸をおどらせる」、「腹が立つ」、「はらわたが煮えくり返る」、「頭に血が上る」、「むかつく」、「苦々しい」、「鉛を呑んだような」、「ちむぐりさ(=肝苦しい、沖縄方言)」など。このうち幾つか典型的な交感神経亢進反応であり、幾つかはそれらに起因するかもしれない消化管症状である。 補足2精神疾患治療用いられる認知行動療法は、「認知仕方変えることによって感情調整する」という理論基づいており、皮質皮質下の相互作用応用した好例と言えるまた、自律訓練法は「手が暖かい」「気持ちおちついている」など、リラックスした身体状態をイメージしながら心身緊張をとる訓練法であり、ストレス解消心身症神経症などの治療用いられる。これも末梢自律神経反応感情相互作用応用した一例である。 2012年10月脳神経外科世界的権威であるエベン・アレグザンダーは「死後の世界存在する」と発言したかつては一元論者で死後の世界否定していた人物であったが、脳の病に侵され入院中に臨死体験経験して回復した退院後、体験中の脳の状態を徹底的に調査した結果昏睡状態にあった7日間、脳の大部分機能停止していたことを確認した。そしてあらゆる可能性検討した結果、「あれは死後の世界間違いない」と判断して自分体験から「脳それ自体意識作り出さないのでは?」との実体二元論仮説立てている。

※この「至近要因-感情の脳科学」の解説は、「感情」の解説の一部です。
「至近要因-感情の脳科学」を含む「感情」の記事については、「感情」の概要を参照ください。

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