翻訳、解説本、後世の続編
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 03:43 UTC 版)
「クマのプーさん」の記事における「翻訳、解説本、後世の続編」の解説
『クマのプーさん』シリーズは着実に翻訳されていき、現在では『プー』が翻訳された言語は30を超える。翻訳では、1958年にアレクサンダー・レナードによる「ラテン語訳」『ウィニー・イッレ・プー』が出版されている。これはもともとレナードが娘たちのためのラテン語教材として書きはじめたものであったが、自費出版で知人に配ったところ反響が大きかったため出版を決め、はじめにスウェーデンで、1960年にニューヨークで出版され、外国語で書かれた本としてははじめてニューヨークでベストセラーとなった。1980年には同じ訳者による『プー横丁にたった家』のラテン語訳『ドムス・アングリ・プエンシス』も出版されている。 日本では石井桃子による訳『熊のプーさん』が1940年に岩波書店により出版され、1942年には『プー横丁にたつた家』が出版された。石井が『クマのプーさん』シリーズの翻訳を始めたきっかけは1933年、石井が親交のあった犬養家で『プー横丁にたった家』の原書を偶然手に取ったことからである。その後敵性国の文学とされ一度は絶版になるが、戦後に英宝社が翻訳権を獲得し、1950年に石井訳が『熊のプーさん』『プー横丁』として出版。英宝社版では村岡花子が推薦文を寄せていた。その後再び岩波書店の岩波少年文庫から石井訳が『クマのプーさん』(1956年)『プー横丁にたった家』(1958年)として出版される。日本は戦後、英米の児童書が子供の読書の大部分を占める状況となり、石井訳の『プー』も広く受け入れられた。1953年には教育画劇から石井の脚色、西原ひろしの絵による紙芝居版『熊のプーさん』、1959年にはフレーベル館から石井の文、武井武雄の絵による『キンダーブック くまのぷーさん』も出版されている。なおあまり知られていないが、『小熊のプー公』というタイトルで松本恵子が訳したものも1941年に新潮文庫から出ている。2017年5月に日本国内における原著の著作権が切れたことに伴い、同年6月には『クマのプー』の題名で直木賞作家・森絵都による新訳本が角川文庫より出版された(続いて『プー通りの家』も出版)。他にも阿川佐和子による訳本『ウィニー・ザ・プー』『プーの細道にたった家』が新潮社から出版されている。 1982年、ベンジャミン・ホフによる『タオのプーさん』が刊行された。これはニューエイジ思想を背景とした大衆向けの解説書で、プーさんの物語を引用しつつ、その物語をタオイズム(道教)によって絵解きするという体裁を取っている。この本を先駆けとして、『プーさん』のキャラクターを用いた哲学、心理学やビジネスの解説書が数多く作られるようになった。 2009年10月、『くまのプーさん』の正式な続編として『プーさんの森にかえる』がエグモントブックス社(イギリス)およびダットン社(アメリカ合衆国)から刊行された。作者はデイヴィッド・ベネディクタス、挿絵はマーク・バージェスで、ディズニーから続編に関する権利を取り戻したミルンの知的所有権管理者からの許諾を受けており、物語、挿絵ともにそれぞれミルンとシェパードのスタイルを踏襲したものとなっている。日本では2010年にこだまともこ訳で小学館より刊行された。
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