縦書きと横書きの使い分け
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 01:54 UTC 版)
「縦書きと横書き」の記事における「縦書きと横書きの使い分け」の解説
現代日本においては、縦書きも横書きもともに用いられる。 縦書き(縦組み)は、書道作品のほとんど、国語の教科書、文芸(小説、詩歌、戯曲など)、新聞などで用いられる。漫画もその戦前からの伝統を踏襲しており、コマ運びは右横進行、吹出しの台詞は縦書きが標準であるが、左開きに製本された場合、コマ運びだけは、右横進行のことも左横進行のこともある。また、基本的に台詞は縦書きであるが、一部の外国語が話されているというシーンでは、その台詞の吹き出しだけ横書きにする、という漫画作品もある。この場合、一つのページに縦書きと横書きが混在する。 自然科学関連の書籍でも、数式などを用いない啓蒙書では、縦書きの例が依然として多い。社会科学系の書物も、数理経済学、会計学の専門書を除くと縦書きが多い。公文書においては法令や法案、官報、あるいは国会での決議と決議案が縦書きにされる。縦書きおよび右横書き基調の綴じ本は、右開きに製本される。 横書き(横組み)は、例えば、外国語、数学、科学、音楽になどに関する専門書、つまり、横書きの言語、数式、楽譜を含むような文書のほとんどで使われる。コンピュータの出力もほとんど横書きである。映画・ゲーム情報誌なども、横長の画面写真を扱うレイアウトの性質上、横書きが主流である。左横書き基調の綴本は、左開きに製本される。 シナリオも縦書きで出版されるのが普通であるが、英語学習用の洋画の対訳つきシナリオ書などは横書きであるが、日本のテレビドラマのシナリオ『ケイゾク』(西荻弓絵)は、角川書店から横書きの体裁で刊行された。 社会科学系の書物では、副島隆彦の『アメリカ政治思想の大研究』は、人名や専門用語などに正式な英語表記が併記されるために横書きで出版された。しかし、文庫化されたときに縦書きになった。 数式を多用する経済学の場合、専門書は横書きの場合も多いが、経済評論などの場合は縦が普通である。『資本論』も縦書きで出版されることが多い。小室直樹の経済学の啓蒙書は、数式を使うが縦書きである。トム・ピーターズの経営書の訳書も縦書きで出版されていたが、「マニフェスト・シリーズ」は横書きである。 学校教育の教科書では、国語に属する分野以外はほぼ横書きが用いられる。社会科が縦書きだった時期も1980年代まであったが、その後は横書きになった。 横書き基調の書面の左右端などのスペースに縦書きが用いられたり、逆に縦書き基調の書面の上下端に横書きが用いられることも珍しくなく、こういったことは縦横両用の日本語組版の強みといえる。新聞では、見出しにおいてデザインやレイアウトの都合または強調のために、横書きを使うこともある。またテレビ・ラジオの番組予定欄(ラテ欄)は、原則として横書きである。
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