経済学におけるミルとは? わかりやすく解説

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経済学におけるミル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/10 05:51 UTC 版)

ジョン・スチュアート・ミル」の記事における「経済学におけるミル」の解説

リカード後の古典派経済学代表的な経済学者であり、『経済学原理』(1848年)を著わす。この長大著作古典派経済学代表的な教科書として、マーシャルの「経済学原理」の登場1890年)まで君臨したと言える。ただし、厳密にミル著作タイトル政治経済学 political economy教科書であり、マーシャルのそれは経済学 economics教科書だった。その後新古典派や、マルクスその後継者たちによって、「過渡期経済学」としてさまざまな批判さらされたが、近年では再評価進んでいる。 ミル経済学は、おおまかに言えばリカード以来古典派経済学モデルフレームワークに従っている。19世紀英国は、産業革命植民地獲得競争勝利で、急激に物質的な豊かさ獲得した。しかし、そうした史上空前繁栄にもかかわらず貧富の格差植民地増加などの社会変化の中で、古典派元来自由放任政策行き詰まり見せていた。経済学者ミル課題は、そうした当時の「豊かな先進国イギリス社会問題に対して具体的で実現可能な処方箋書くことにあった。(例えば、同時代ディケンズの描く貧困層スケッチなどを見よ。) 基本的にミル自由放任政策支持者であったが、ロバート・オウエンなどのユートピア社会主義者潮流影響受けて社会主義的色合い帯びており、マルクスはしばし対比される。『経済学原理』の版によってその社会主義への接近度合い変動し最終版では社会主義に対してやや距離を置いている。これは、勃興する急進的な社会主義運動の実勢に、ミル幻滅したためではないか考えられている。社会主義体制の持つであろう恣意的な分配表現の自由圧殺などの考えられる弱点について、手厳しく、かつ先見性に富む予言をしている。 ミルは、生産が自然の法則によって与えられるに対して分配社会人為的に変更可能であることに着目し政府再分配機能によって、漸進的な社会改革行なうことに期待している。その意味では「大きな政府」によるセーフティ・ネット構築に、激化する階級対立処方箋見出したと言える長い時間かかったが、おおよそ英国社会マルクス激越革命予言ではなくミル書いた穏健な処方箋方向徐々に進んだともいえる。 後にフェビアン協会へと連なっていく英国社会民主主義に、具体的な正統派経済学からの理論的裏づけ与えた最初経済学者1人として評価できる。 なお、現代経済学の中では、アマルティア・セン平等主義的な経済学文献中にも、しばしばミル引用見られる経済成長自明のものとしなかったため、いわゆる定常社会」論の先駆見なされることもある。また、当時英国深刻な不安を投げかけていたマルサス人口論以来人口問題については、労働者階級自発的な出生率抑制による出生率制御期待する、という考え方新マルサス主義)で臨んでいた。

※この「経済学におけるミル」の解説は、「ジョン・スチュアート・ミル」の解説の一部です。
「経済学におけるミル」を含む「ジョン・スチュアート・ミル」の記事については、「ジョン・スチュアート・ミル」の概要を参照ください。

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