筆者、読者層
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 07:15 UTC 版)
2017年時点でネット上に掲載されている作品を読むのは10-20代の若者が多いが、それを書籍化されたものを購読しているのは30-40代が多く、若者は時間を割いてもまだ洗練されていない作品を探すがその上の世代は編集者が目を通して推敲、校正された作品を買って読み、それは1980年代のライトノベル創世記の頃からファンタジー小説を好んでいた人で、願望を反映した展開が多いため30-40代の主人公が異世界へ行く作品も増えた。MFブックスでは2013年の創刊にあたってのリサーチで「Arcadia」「小説家になろう」の書籍化作品は30-40代の社会人に人気だとわかり、中高生メインのライトノベルとしてではなく、単行本で刊行して文芸書コーナーあった方が社会人は買いやすいと判断、同レーベル編集者もなろう系をラノベではなく社会人向けエンタメ小説だと捉えていた。 上記のよくあるパターンに加えて中年主人公の作品の存在には安易、世も末だとの見方もあるが、Book Bangでは筆者には出版社の小説コンテストに落ちた人も多く、切り捨てられた人たちの小説が多くの読者に楽しまれているのは事実で、書籍化して売上が大きいと読者が求めるものを提供するのも自分たちの役目だったと改めて考えさせられていると、ある編集者の話を掲載している。ライトノベルの読者に30-40代が多いとする言及は2006年時点で存在するが中高生を対象とした2019年度第65回学校読書調査の1か月で読んだ本に挙がった「小説家になろう」関連作が全てアニメ化されており、アニメを見ている一部読者が原作をグッズとして触れているとみられ、2000年代にライトノベルを読み漁っていた中高生のような人は限られている。筆者も30-40代が多く、売れるためには流行に乗るのはやむなしと割り切り、適応できるからであるとみられる。 大人向け作品が増えたことで中高生はそれには手を出さないようになり、作り手も大人向けが多くなり、飯田一史は2010年代以降のライトノベルはユースカルチャーから広い世代向けのサブカルチャーに変化したと言い、その結果、それまでの読者が離れてラノベ市場の規模が半減、電子書籍市場では漫画と違ってラノベは紙版と同じとはいえず、合わせてもピークより減少した。ただ、単行本と合算すれば小さくなっていない。文庫より四六判で出版されることも少なくないため文庫より価格が高くなり、1冊の価格が1000円以上になったことで2021年時点で小遣いは5000円が中央値の高校生は定期的に購入することは難しく、読者の年齢層を押し上げた。羽海野渉はライトノベルを卒業して読み出す大人向けラノベがライト文芸で、卒業しなかった読者が中高生ではなくより上の成人主人公の物語を欲し、自分が理想とする物語がないのであれば書けばいいとなったことで大人主人公が増加、なろう系異世界作品誕生のきっかけの1つだとみている。飯田は大人になってもラノベを読み続けた面もあるが、なろう系ヒットにより大人読者がよく目立ち、なろう系以外のラノベのキャラクターデザイン、ジャンルの流行に影響を与えたと考えている。「悪役令嬢」ものに続き「公爵令嬢」「聖女」が主人公の作品も増加したことが一因となって投稿者や読者に女性も多くなり、平井幸もなろう系が男性向けだと思われがちだが女性読者も一定数いるとしている。構造が単純であるため2018年頃から小学生に人気が出ているといわれている。ブームにより、コミカライズの際は若手だけでなくベテラン漫画家にも依頼が来るようになった。
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