第1歌
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 15:00 UTC 版)
『ムーサよ、あの男(トロイア戦争での英雄)の事を語ってください…』と懇願する形で始まり、 聴衆にこの物語が「イーリアス」と関係が深い事を示唆しながら興味を引くような形になっている。 場面は、「イーリアス」のトロイア戦争で活躍した英雄オデュッセウスが、女神カリュプソー(「隠す者」の意)の島に囚われているところからこの物語は始まる。 主神ゼウスはじめとするオリュンポスの神々のほとんどが「オデュッセウスを故郷のイタケーに帰郷させること」を決議するが、オデュッセウスに我が子ポリュペーモスの眼を潰された海神ポセイドーンのみはオデュッセウスに深い恨みを持ち続け、海路で帰途に就こうとするオデュッセウスに様々な困難をもたらす趣旨が説明され、聴衆にオデュッセウスの帰路の旅が困難になるであろう事を前提で示しながら、また同時に英雄オデュッセウスに対してオリュンポスの神々が少なからず助力し「正しい行いをする者」を神々が憐み見放さない事を聴衆に暗示しつつ語りかけを成立させている。 先のトロイア戦争(「イーリアス」)で、奮戦したオデュッセウスは、彼の故郷イタケーでは「オデュッセウスは既に戦死したものと考えられており(既に数年が経過している)」オデュッセウスの妻ペーネロペーの元には、オデュッセウスの莫大な財産とイタケーの支配を目論む40人の遺産目当ての求婚者たちがオデュッセウス邸を占拠してたむろしていた。「オデュッセウスはイタケーの王であり、王の不在は国の不備」であるのが求婚者達の言い分である。オデュッセウスの妻ペーネロペーは夫オデュッセウスの帰還を待ち続け、オデュッセウスが生きて帰ってきてくれる事を願っているが、悪辣な求婚者達の無道な振る舞い(オデュッセウスの財産の蚕食)をさせるがままになっていた(古代ギリシアでは、有力者は客人を歓待するのが習わしであったが、王の不在をいいことに王宮で享楽にふけり、文字通り財産を食い尽くさんとする所業は、アテーナーが指摘するように悪辣な行為である)。イタケーの王が不在の今、ペーネロペーには「オデュッセウスが生きて帰ってきてくれる事を待ち続けるしかないのだが」、求婚者たちはそれを許さず「王の不在」を理由として早急に事態の解決を迫り、「ペーネロペーが女の仕事、機織り(はたおり)の織物を完成させた暁には、(オデュッセウスの生還を諦め)求婚者たちの誰かと結婚する事を約束させた」。こうしたオデュッセウス家の苦境に、天神ゼウスの使いとして現れた女神アテーナーは、父(オデュッセウス)を識る旧知の仲の友人として「異国の王・メンテース王」の姿に扮してテーレマコスの元を訪れる、メンテース王はオデュッセウス邸での現状についてテーレマコスに問い質す。「これは如何なる会食か?この者たちは如何なる理由でここにいるのか?このような傍若無人な振る舞いを心有るひとがみれば憤慨するに違いないでしょうに」と狼藉を許している現状を嘆き、天行を説きつつ「そなたはもう子供ではなく立派な大人になったのだから、勇猛な父に恥じぬような行いをしなければならない。まずは父上の行方を探し生死を確認してから、もし亡くなられていたのならば立派な葬儀を執り行い、母上を再婚させればよろしかろう、」「そして万事を成し遂げたらならば、貴方自身の大義も成された方がよかろう、慎重に心に秘して」と叱咤激励しつつ「父オデュッセウスを探す旅に出る事を述べ」ひとまずこの場を去った。テーレマコスは寝床につきながら異国の客人メンテース王に言われた「父を探す旅」について思いをめぐらすのであった。
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第1歌
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/24 16:57 UTC 版)
エル・シッドを憎む奸臣の讒言を受けたアルフォンソ6世は、これを信じてエル・シッドを追放処分にしてしまう。妻子を故国に残したまま、故国を追われたエル・シッドは各地でモーロ人の領土を征服するとともに、アルフォンソ6世に変らぬ忠誠を持っていることを示すため、略奪品を王に献上するのであった。
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