『愛の歌』とは? わかりやすく解説

『愛の歌』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 08:06 UTC 版)

オウィディウス」の記事における「『愛の歌』」の解説

『愛の歌』(Amores、アモーレス)はエレギーア韻律恋愛詩を集めた3巻本である。エレギーア韻律恋愛詩の定型化はティブッルスとプロペルティウスにより行われた。エレギーアの発展にこの二人詩人寄与した部分確かに大きい。しかしながら、このジャンル革新もたらした詩人オウィディウスである。彼はこの詩形における主導者を、詩人からアモル(愛神)へと切り替えた。つまり、詩の詠み人が愛を勝ち取ることに焦点当てるではなく人々の上にいる愛神の勝利焦点当てた。この転回は詩という文学ジャンル上、初の転回であったオウィディウス革新は「愛」という抽象概念メタファー用いたこと、つまり、愛のアレゴリー化に要約される3巻本本書は、コリンナ呼ばれるある婦人詩人との関係を中心に、愛の諸相描写する多彩な詩の中には恋愛をしていく中で起こりうるいくつかの出来事描写されるが、それは文学的な装飾自由な語り伴って読者提示される第1巻15編の詩を収める第1歌オウィディウスは、自分叙事詩書こうとしたのだと語る。ところがクピードー私か脚韻盗み、詠い続けることができなくなったため、それを恋愛悲歌作りかえたのだ、という。第4歌は教訓詩形式取り、のちに『恋の技法』展開することになる警句述べる。第5歌正午逢い引き詠うまた、恋人の名前がコリンナであることが明かされる第8歌第9歌贈り物惹かれるコリンナを描くが、第11歌第12歌描写詩人企み失敗したことが示される第14歌コリンナ髪の毛染めようとして大失敗した話である。第15歌ではオウィディウスをはじめ、その他の恋愛詩人の命も永遠ではないと強調される第2巻19編を収める巻頭の歌はオウィディウスがエレギーアのために巨人族との戦いあきらめたことを語る。第2歌第3歌詩人コリンナ護衛する供回り者どもに、なんとか彼女に一目会わせてくれと頼むさまを詠う第6歌コリンナ飼っていた鸚鵡の死を悼む哀歌である。第7歌第8歌オウィディウスコリンナ召使い手を出し、それがコリンナ露見する事件を扱う。第11歌第12歌コリンナ休暇遠くへ行ってしまうのを引き止めようとする内容第13歌病気になったコリンナ平癒イシス祈願する祈りの歌第14歌妊娠中絶反対する歌、第19歌油断している世の妻帯者たちへの警告の歌である。 第3巻15編を収める第1歌擬人化された「悲劇」と「哀歌」がオウィディウス巡って争う様が詠われる。第2歌競馬大会に行く描写があり、第3歌第8歌では他の男たちにこころ惹かれるコリンナ女心主題である。第10歌地母神ケレースへの恨み歌である。なぜならこの女神の祭には禁欲求められるからである。第13歌ユーノー祭についての歌、第9歌はティブッルスに捧げる哀歌である。第11歌オウィディウスこれ以上コリンナ愛するのは止そうと心に決める。そして彼女について詩を詠んだことに後悔する最終第15歌詩人の愛をかき立てたミューズコリンナのこと)への告別の歌である。『愛の歌』はこれまでのところ、自意識溢れ、非常に雄弁なエレギーア詩の作例であると評価されている。

※この「『愛の歌』」の解説は、「オウィディウス」の解説の一部です。
「『愛の歌』」を含む「オウィディウス」の記事については、「オウィディウス」の概要を参照ください。

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