私鉄・公営交通・第三セクターにおける回数乗車券
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 09:42 UTC 版)
「回数乗車券」の記事における「私鉄・公営交通・第三セクターにおける回数乗車券」の解説
私鉄などJRグループ以外の鉄道事業者の中では、普通回数券として普通運賃10倍の発売額で11枚つづりの回数券を発売しているほか、利用できる日や時間を限定して割引率を変更する回数券がある。たとえば時差回数券は、平日の10時から16時までと土休日の終日有効で、事業者によっては土休日は利用できない場合もある。さらに土曜休日回数券(土曜日・日曜日・祝日と年末年始は終日利用できる。事業者によってはお盆に土曜休日ダイヤで運転される日を含む)といった、普通券・時差回数券より割引率の高い回数券もある。また、弘南鉄道やゆりかもめ(いずれも普通運賃の10倍で12枚綴り)、伊豆急行や東葉高速鉄道(日中・土休日券)(普通運賃の10倍で13枚綴り)などのように、割引率の高い事業者も存在する。また、青い森鉄道では、苫米地・北高岩両駅からJR八戸線本八戸駅まで、6枚綴りで3か月有効の『連絡ミニ回数券』を発売しているほか、しなの鉄道でもJRとの連絡回数券「千曲川切符」を発売している。小田急電鉄では2020年4月から従来の回数券に代わり、「小田急チケット10」と称した10枚綴の企画回数券(130円区間で従来は11枚・12枚・14枚で1300円を、それぞれ1150円、1050円、900円)を発売する。割引率は従来の回数券を踏襲しているが有効期限は1ヶ月短くなった。 また鉄道事業者によっては切符型ではなく磁気カードやICカード形式の回数券を導入している。利用する時は直接自動改札機に投入ないし接触させるが、複数人で同時に使用する場合は自動券売機にて紙の切符と引き替える。これらのカードは「回数カード」「回数券カード」などと呼ばれる。仙台市交通局や阪急電鉄、阪神電気鉄道など、鉄道事業者によっては切符型の回数券は廃止して回数券をカード形式に限定し、切符型の回数券の発行を廃止したところもある。また、名古屋市交通局、愛知高速交通、名古屋臨海高速鉄道や遠州鉄道では開通時から、またはSFシステム導入時にカードのプレミアムを回数券の代替と位置づけて回数券の発行を停止したり、最初から発行していない場合もある。旧大阪市交通局ではそれまで区間毎に発行していた回数券を廃止し地下鉄・バス共通の「回数カード」と呼ばれる10%のプレミアムを付けた減額式乗車カードを発行しており、大阪メトロとなった現在でも利用区間を指定した回数券は北急連絡回数券を除いて発行していない。その一方で、これらの形式で回数券を導入した事業者であっても特定の交通機関でしか利用出来ない事などから汎用性の高い乗車カードへ移行した事業者もある。東急世田谷線のみで利用できたせたまるや東急トランセの渋谷・代官山路線のみで利用できたトランセカードはいずれもPASMO(首都圏の多くの鉄道・バスで利用可能)へ移行する形で廃止されている。 有効期間は、ほとんどの事業者が3か月間(または発売日の翌月から起算して3か月目の月末日、すなわち月初めに購入すれば4か月弱使用できる)だが、1990年代初めまでは関東を中心に1か月間や2か月間の事業者が多かった。新京成電鉄や江ノ島電鉄は2014年時点でも有効期間を2か月間としているほか、2020年4月からは小田急電鉄も2か月になる。 阪急電鉄と阪神電気鉄道では、金額が同一の回数券については相互で利用できる。この相互利用は阪急・阪神経営統合に伴うサービスとして打ち出された(2019年10月現在の該当区間は190円、270円、280円、320円、380円、400円区間)。ただし、違う会社の自動改札機に直接投入することはできず、乗車する駅の自動券売機で予め引き換える必要がある。また、両社とも2018年10月より、自動券売機で回数カードを切符に引き換えた場合、その切符は引き換え当日のみ有効とすることに制度が変更された。 なお、大手私鉄では名古屋鉄道が2012年2月29日、京阪電気鉄道が2020年12月30日、西日本鉄道が2021年7月31日、東武鉄道が2021年9月30日に普通回数乗車券の販売を終了した。また、阪神電気鉄道が2022年9月30日に普通回数乗車券の発売を終了する予定である。 中小私鉄では江ノ島電鉄が2021年12月31日、叡山電鉄が2022年3月31日に普通回数乗車券の販売を終了した。 第三セクターでは愛知環状鉄道が2021年12月31日に普通回数乗車券の販売を終了した。
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