福田ますみ
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福田 ますみ(ふくだ ますみ、1956年5月5日[1] - )は、日本のジャーナリスト。
略歴
神奈川県横浜市生まれ。立教大学社会学部卒業後、専門誌業界、編集プロダクションを経て、フリーライターとなる。
犯罪、ロシアをはじめとしてさまざまな分野で取材をおこなう。『正論』や『新潮45』などの雑誌記事を多く手がけ、単行本も執筆している。
全国報道された「教師によるいじめ」の事例での福岡で起きたモンスターペアレントによるでっち上げ疑惑を取り上げた、『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』で、2007年に第6回「新潮ドキュメント賞」を受賞する。2016年には、「新潮45」で連載した「モンスターマザー 長野・丸子実業高校『いじめ自殺』でっちあげ事件」で、「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」作品賞を受賞した[2]。
人物・主張
福田は自身の著書でポリティカル・コレクトネス(ポリコレ)について、そのルーツがマルクス主義にある可能性に言及、支持しているのは左翼活動家だけに過ぎないとし、その思想的根幹にマルクス主義の亜種である「文化マルクス主義」があると論じた。また、文化マルクス主義者は、家庭の解体のため家父長制や一夫一妻制からの脱却、性の解放の提唱、宗教や伝統文化、地域社会の崩壊も目論んでいると主張した。
福田は旧統一教会系の『世界日報』編集委員の早川俊行の「左翼に乗っ取られた米国の現状」についての取材を評価し、ポリコレについて「左翼の価値観にそぐわない意見を封じ込める思想警察であり、言葉狩りそのものです」と論じた早川の主張を肯定的に引用した[3]。
福田はブラック・ライヴズ・マター(BLM)の背後には共産主義者の影響があると論じ、BLMの関連組織に毛沢東主義者の中国マネーが入り込んでいると主張する『世界日報』編集委員の早川の陰謀論的な見解を肯定している引用した[4]。
同書では『世界日報』の記事が複数引用され、世界日報社の『トランプ超保守改革 神と自由を取り戻す!』も参考文献に挙げられている[5]。
著作
- 『されど我、処刑を望まず ―死刑廃止を訴える被害者の兄』現代書館、1998年、ISBN 4-7684-6738-5
- 『スターリン家族の肖像』文藝春秋社、2002年、ISBN 4-16-358160-X
- 『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』新潮社、2007年、ISBN 978-4-10-303671-5
- (文庫版)『でっちあげ: 福岡「殺人教師」事件の真相』新潮社、2009年、ISBN 978-4101311814
- (田近康平によるコミカライズ版)『でっちあげ』新潮社、バンチコミックス、2020年6月 - 2021年11月、全4巻
- 『暗殺国家ロシア: 消されたジャーナリストを追う』新潮社、2010年、ISBN 978-4103036722
- (文庫版)『暗殺国家ロシア ―消されたジャーナリストを追う―』新潮社、2013年、ISBN 978-4101311821
- 『モンスターマザー:長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い』新潮社、2016年、ISBN 978-4103036739
- (文庫版)『モンスターマザー: 長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い』新潮社、2019年、ISBN 978-4101311838
- 『ポリコレの正体 「多様性尊重」「言葉狩り」の先にあるものは』方丈社、2021年、ISBN 9784908925863
脚注
- ^ 『読売年鑑 2016年版』(読売新聞東京本社、2016年)p.463
- ^ 高1自殺の原因は“いじめ”ではなく“母”だった 〈学校を破壊するモンスターマザーの傾向と対策(1)〉「週刊新潮」2016年4月7日号
- ^ 福田ますみ「ポリコレの正体 「多様性尊重」「言葉狩り」の先にあるものは」方丈社、2021年。 ISBN 9784908925863 P18~72
- ^ 福田ますみ「ポリコレの正体 「多様性尊重」「言葉狩り」の先にあるものは」方丈社、2021年。 ISBN 9784908925863 P106~177
- ^ 福田ますみ「ポリコレの正体 「多様性尊重」「言葉狩り」の先にあるものは」方丈社、2021年。 ISBN 9784908925863 P285~286
福田ますみ
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「福岡市「教師によるいじめ」事件」の記事における「福田ますみ」の解説
福田は2003年11月下旬に福岡に入り取材を開始。学校周辺での聞き込みを行い、保護者や学校の児童らを取材した。さらに、教諭本人、懲戒処分を行った市の担当者、児童らの代理人弁護士、児童らの親族にも取材し、『新潮45』2004年1月号に記事を投稿。 その後も裁判傍聴 などの取材を重ね、『中央公論』2006年1月号でも本事件の記事を発表した。 第1審判決後、2007年1月に、取材の経緯をまとめた書籍『でっちあげ』を刊行。教諭の身の潔白を訴えた。同書は同年、第6回新潮ドキュメント賞を受賞。 同書刊行後も福田は本事件の取材を続け、2010年1月刊行の『でっちあげ』新潮文庫版では、巻末に控訴審のレポートが追加されている。 さらに、2013年1月になされた、教諭に対する懲戒処分の取消裁決についても雑誌に記事を書き、また新潮社のウェブサイトで報じた。 福田によれば、本事件の真相は次のとおりである。報道されたような教諭の「いじめ」や「体罰」は実際には行われていない。裁判所が「相当軽微」ながら教諭の体罰を認めたのも、すでに教諭のいじめを認めて懲戒処分も下していた市側が、裁判において事実関係の一部を争わなかったからである。しかし、市教委が認定した教諭のいじめの事実は、市人事委員会によって否定された。このことは、訴訟において市が前提としていた事実が覆ったことを意味する。したがって、判決の内容も事実上無効となったといえる。 さらに、児童側の言い分を一方的に報じたメディアの問題にも言及。『でっちあげ』では本事件を報じた朝日新聞・西日本新聞・毎日新聞・『週刊文春』の記者らにも取材を行った。 偏向報道の原因として、福田は以下の点を指摘している。本事件が起こった2003年当時、教師らはモンスターペアレントに代表される、学校に対して強圧的な態度をとる保護者に頭を悩ませていたが、マスコミはこういった現状を認識していなかった。そのため、校長や教育委員会が早々に「いじめ」の事実を認めた本事件では、教諭によるいじめがあったものと即断してしまい、十分な裏付け取材を行わなかった。もしも、取材の基本に忠実に聞き取り取材を行って当事者の人となりや評判を把握していれば、当初のような一方的な報道にはならなかったはずである。
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