福田ますみ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/05 20:45 UTC 版)
福田 ますみ(ふくだ ますみ、1956年5月5日[1] - )は、日本のジャーナリスト。
略歴
神奈川県横浜市生まれ。立教大学社会学部卒業後、専門誌業界、編集プロダクションを経て、フリーライターとなる。
犯罪、ロシアをはじめとしてさまざまな分野で取材をおこなう。『正論』や『新潮45』や『Hanada』などの雑誌記事を多く手がけ、単行本も執筆している。
全国報道された「教師によるいじめ」の事例での福岡で起きたモンスターペアレントによるでっち上げ疑惑を取り上げた、『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』で、2007年に第6回「新潮ドキュメント賞」を受賞する。2016年には、「新潮45」で連載した「モンスターマザー 長野・丸子実業高校『いじめ自殺』でっちあげ事件」で、「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」作品賞を受賞した[2]。
人物・主張
福田は自身の著書でポリティカル・コレクトネス(ポリコレ)について、そのルーツがマルクス主義にある可能性に言及、支持しているのは左翼活動家だけに過ぎないとし、その思想的根幹にマルクス主義の亜種である「文化マルクス主義」があると論じた。また、文化マルクス主義者は、家庭の解体のため家父長制や一夫一妻制からの脱却、性の解放の提唱、宗教や伝統文化、地域社会の崩壊も目論んでいると主張した。
統一教会との関係
- 福田は2021年12月に方丈社から出版した著書『ポリコレの正体「多様性尊重」「言葉狩り」の先にあるものは』の中で、旧統一教会系の『世界日報』編集委員の早川俊行の「左翼に乗っ取られた米国の現状」についての取材を評価し、ポリコレについて「左翼の価値観にそぐわない意見を封じ込める思想警察であり、言葉狩りそのものです」と論じた早川の主張を肯定的に引用した[3]。福田はブラック・ライヴズ・マター(BLM)の背後には共産主義者の影響があると論じ、BLMの関連組織に毛沢東主義者の中国マネーが入り込んでいると主張する『世界日報』編集委員の早川の陰謀論的な見解を肯定している引用した[4]。同書では統一教会の機関紙『世界日報』の記事が複数引用され、世界日報社の『トランプ超保守改革 神と自由を取り戻す!』も参考文献に挙げられている[5]。
- 2023年4月23日、統一教会の2世信者が立ち上げた「信者の人権を守る二世の会」の1回目のシンポジウムに、福田と、統一教会信者の信教の自由や名誉棄損を巡る一連の裁判で原告代理人を務めている徳永信一が登壇した[6]。シンポジウムの様子は「信者の人権を守る二世の会」の公式サイトで報告された[6]。
- 2023年7月30日、「信者の人権を守る二世の会」の3回目のシンポジウムに、福田、全国教育問題協議会顧問の杉原誠四郎、弁護士の中山達樹、徳永信一が登壇した[7]。シンポジウムの様子を同月31日に統一教会の機関紙「世界日報」が報じた[7]。
- 2023年8月23日、月刊『Hanada』の公式YouTubeチャンネルに、『第8回【ゲスト徳永信一・福田ますみ】「報じられない旧統一教会問題の真実」【月刊Hanadaチャンネル生放送】』という動画が投稿され、福田は花田紀凱や、統一教会の顧問弁護士である徳永信一らと座談した[8]。
- 2024年1月20日、統一教会の関連団体「UPF(天宙平和連合)ジャパン」が東京都内で主催したシンポジウム「報道はなぜ暴走したのか-ジャーナリストによる徹底検証『旧統一教会報道』-」に、パネリストとして福田、窪田順生、加藤文宏が出席した[9]。シンポジウムの様子を同月22日に世界日報が報じた。
- 世界日報の月刊誌、「月刊Viewpoint」2024年5月号に福田は寄稿した[10]。
- 2024年5月19日、「基本的人権を守る栃木県民の会」が主催するイベント、「基本的人権を考える栃木県民の集い」に登壇し、統一教会の関連団体「県平和大使協議会」の議長を務めた増渕賢一とパネルディスカッションをした[11][12]。「基本的人権を守る栃木県民の会」の代表も増渕賢一である[12]。福田が、全国霊感商法対策弁護士連絡会を「スパイ防止法潰しという真の目的を隠した正体隠しの組織だ」と述べた様子を、世界日報が報じた[12]。
- 2024年6月16日、統一教会の関連団体「基本的人権・信教の自由を守る熊本県民の会」が熊本市内で開催した大会「信教の自由を守る熊本大会」で福田は講演した[13]。「基本的人権・信教の自由を守る熊本県民の会」の会長の主海偉佐雄は、ピースロードの熊本県実行委員会の実行委員長だった[14]。
- 2024年9月9日、統一教会の関連団体「信教の自由と人権を守る会・西北東京」が主催したシンポジウム「地域社会の自由と民主主義を守る!」に、福田、米田倫康、三津間弘彦が出席し講演した[15]。シンポジウムの様子を同月10日に世界日報が報じた[15]。
- 2024年9月23日、統一教会の関連団体「基本的人権・信教の自由を守る千葉県民の会」が主催したシンポジウム「信教の自由シンポジウム」に出席した福田は、「拉致監禁を巡って弁護士とキリスト教牧師が結託し、マスコミと法曹界をも巻き込んでいること」を問題視した[16]。イベントの主催者は、統一教会の関連団体「小笠原家庭教会」の主宰者である小笠原裕だった[16][17]。シンポジウムには統一教会の信者ら約200人が参加した[16]。シンポジウムの様子を同月24日に世界日報が報じた[16]。
- 2024年10月26日、統一教会の関連団体「基本的人権・信教の自由を守る静岡県民の会」が主催したシンポジウムで、福田は基調講演した[18]。シンポジウム会場では、「家庭連合信者に対する拉致監禁・強制棄教についてのパネル展が併設されたこと」を世界日報が報じた[18]。
著作
- 『されど我、処刑を望まず ―死刑廃止を訴える被害者の兄』現代書館、1998年、ISBN 4-7684-6738-5
- 『スターリン家族の肖像』文藝春秋社、2002年、 ISBN 4-16-358160-X
- 『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』新潮社、2007年、
ISBN 978-4-10-303671-5
- (文庫版)『でっちあげ: 福岡「殺人教師」事件の真相』新潮社、2009年、 ISBN 978-4101311814
- (田近康平によるコミカライズ版)『でっちあげ』新潮社、バンチコミックス、2020年6月 - 2021年11月、全4巻
- 『暗殺国家ロシア: 消されたジャーナリストを追う』新潮社、2010年、
ISBN 978-4103036722
- (文庫版)『暗殺国家ロシア ―消されたジャーナリストを追う―』新潮社、2013年、 ISBN 978-4101311821
- 『モンスターマザー:長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い』新潮社、2016年、
ISBN 978-4103036739
- (文庫版)『モンスターマザー: 長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い』新潮社、2019年、 ISBN 978-4101311838
- 『ポリコレの正体 「多様性尊重」「言葉狩り」の先にあるものは』方丈社、2021年、 ISBN 9784908925863
脚注
- ^ 『読売年鑑 2016年版』(読売新聞東京本社、2016年)p.463
- ^ 高1自殺の原因は“いじめ”ではなく“母”だった 〈学校を破壊するモンスターマザーの傾向と対策(1)〉「週刊新潮」2016年4月7日号
- ^ 福田ますみ「ポリコレの正体 「多様性尊重」「言葉狩り」の先にあるものは」方丈社、2021年。 ISBN 9784908925863 P18~72
- ^ 福田ますみ「ポリコレの正体 「多様性尊重」「言葉狩り」の先にあるものは」方丈社、2021年。 ISBN 9784908925863 P106~177
- ^ 福田ますみ「ポリコレの正体 「多様性尊重」「言葉狩り」の先にあるものは」方丈社、2021年。 ISBN 9784908925863 P285~286
- ^ a b 信者の人権を守る二世の会 (2023年5月12日). “第1回シンポジウム報告”. 信者の人権を守る二世の会. 2025年2月15日閲覧。
- ^ a b “「“解散請求”の要件満たさず」家庭連合2世主催シンポ - 世界日報DIGITAL”. www.worldtimes.co.jp (2023年7月30日). 2025年1月8日閲覧。
- ^ 月刊 Hanada (2023-08-23), 第8回【ゲスト徳永信一・福田ますみ】「報じられない旧統一教会問題の真実」【月刊Hanadaチャンネル生放送】 2025年4月5日閲覧。
- ^ “旧統一教会報道 バランス欠く一方的追及 ジャーナリストが検証 - 世界日報DIGITAL”. www.worldtimes.co.jp (2024年1月22日). 2025年2月15日閲覧。
- ^ 『月刊Viewpoint』世界日報社、2024年5月号。
- ^ “旧統一教会関係者が陳情書 栃木県内議会に「関係遮断しないで」|下野新聞デジタル”. 下野新聞デジタル. 2025年2月15日閲覧。
- ^ a b c “「信者は声を上げよ」福田ますみ氏、栃木で講演 - 世界日報DIGITAL”. www.worldtimes.co.jp (2024年5月21日). 2025年2月15日閲覧。
- ^ “解散命令請求に反対を訴え、家庭連合信者らがデモ行進―熊本 - 世界日報DIGITAL”. www.worldtimes.co.jp (2024年6月18日). 2025年2月15日閲覧。
- ^ “地方実行委員会(2019) | PEACE ROAD in Japan”. web.archive.org (2020年9月22日). 2025年2月15日閲覧。
- ^ a b “精神医療への偏見を懸念 - 世界日報DIGITAL”. www.worldtimes.co.jp (2024年9月10日). 2025年2月15日閲覧。
- ^ a b c d “【魚拓】「拉致監禁は現在も発生」信教の自由千葉県大会 - 世界日報DIGITAL”. ウェブ魚拓. 2025年2月15日閲覧。
- ^ “【魚拓】主宰者について | 小笠原家庭教会”. ウェブ魚拓. 2025年2月15日閲覧。
- ^ a b “「拉致監禁は戦後最大の人権侵害」 静岡・浜松 - 世界日報DIGITAL”. www.worldtimes.co.jp (2024年10月28日). 2025年2月15日閲覧。
福田ますみ
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「福岡市「教師によるいじめ」事件」の記事における「福田ますみ」の解説
福田は2003年11月下旬に福岡に入り取材を開始。学校周辺での聞き込みを行い、保護者や学校の児童らを取材した。さらに、教諭本人、懲戒処分を行った市の担当者、児童らの代理人弁護士、児童らの親族にも取材し、『新潮45』2004年1月号に記事を投稿。 その後も裁判傍聴 などの取材を重ね、『中央公論』2006年1月号でも本事件の記事を発表した。 第1審判決後、2007年1月に、取材の経緯をまとめた書籍『でっちあげ』を刊行。教諭の身の潔白を訴えた。同書は同年、第6回新潮ドキュメント賞を受賞。 同書刊行後も福田は本事件の取材を続け、2010年1月刊行の『でっちあげ』新潮文庫版では、巻末に控訴審のレポートが追加されている。 さらに、2013年1月になされた、教諭に対する懲戒処分の取消裁決についても雑誌に記事を書き、また新潮社のウェブサイトで報じた。 福田によれば、本事件の真相は次のとおりである。報道されたような教諭の「いじめ」や「体罰」は実際には行われていない。裁判所が「相当軽微」ながら教諭の体罰を認めたのも、すでに教諭のいじめを認めて懲戒処分も下していた市側が、裁判において事実関係の一部を争わなかったからである。しかし、市教委が認定した教諭のいじめの事実は、市人事委員会によって否定された。このことは、訴訟において市が前提としていた事実が覆ったことを意味する。したがって、判決の内容も事実上無効となったといえる。 さらに、児童側の言い分を一方的に報じたメディアの問題にも言及。『でっちあげ』では本事件を報じた朝日新聞・西日本新聞・毎日新聞・『週刊文春』の記者らにも取材を行った。 偏向報道の原因として、福田は以下の点を指摘している。本事件が起こった2003年当時、教師らはモンスターペアレントに代表される、学校に対して強圧的な態度をとる保護者に頭を悩ませていたが、マスコミはこういった現状を認識していなかった。そのため、校長や教育委員会が早々に「いじめ」の事実を認めた本事件では、教諭によるいじめがあったものと即断してしまい、十分な裏付け取材を行わなかった。もしも、取材の基本に忠実に聞き取り取材を行って当事者の人となりや評判を把握していれば、当初のような一方的な報道にはならなかったはずである。
※この「福田ますみ」の解説は、「福岡市「教師によるいじめ」事件」の解説の一部です。
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