現代演劇協会「雲」の結成とは? わかりやすく解説

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現代演劇協会・「雲」の結成

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/31 04:45 UTC 版)

劇団雲」の記事における「現代演劇協会・「雲」の結成」の解説

1963年1月14日芥川比呂志以下、「文学座」の中堅若手劇団員29名は文学座退団届を提出し元文学座文芸部員で評論家福田恆存と、財団法人現代演劇協会」を設立し、同協会附属の「劇団雲」に全員参加することを表明した福田は、「結成を新芸術運動とし、「築地小劇場以来新劇亡霊排し新し演劇創造目指す」をスローガン掲げ、「これは単なる劇団分裂ではない。より大きな構想持った芸術上の動きである」と語った。 この集団脱退劇は、日本演劇界始まって以来大事件として多くマスコミ関心寄せた脱退に至るまでの行動はすべて極秘裏に進められ、座の幹部中村伸郎杉村春子らは、まさに寝耳に水で、当日1月14日毎日新聞朝刊文学座分裂スクープするまで全くこの新集団結成計画感知できていなかった。「文学座集団脱退背景には、ベテラン中堅若手陣とのズレがあったと言われる1962年の『守銭奴公演中楽屋に、「演目決定劇団員総意反映させよ」「馴れ合い配役反対」などと書かれた現状不満を訴える無署名ビラ張り出される事件起こった。さらに、1960年新劇合同訪中公演以降劇団左翼化傾向政治運動への介入への反発一因であった俳優座民藝などの当時新劇おおむね左翼根ざしていたが、文学座芸術至上主義掲げ、もともとは政治的・思想偏向とらわれない劇団だった)。 分裂報じられ1月14日は、杉村主演による文学座の本公演『クレランバール』の公演中で、内田稔新村礼子谷口香ら「」の参加者からも数名がこの舞台出演していた。そのため、文学座からの脱退及び「」の結成はまだ先に予定されていたのだが、毎日新聞報じたことにより急遽その日のうちに脱退連名文学座提出されることになった内田ら「メンバー出演者は、その後出演し千秋楽まで舞台務めた福田は「」の創立声明書で、「今日新劇早くも当初理念情熱失い、しかも拠るべき伝統はついに形成されず、依然として混迷のうちに停滞しながら、その不安をもっぱら独善的な自己満足のかげに糊塗しているかに見えます」と、当時既存新劇批判した同月19日声明書に対して出され種々の意見への回答新聞紙上に掲載される要するに、私たちは無の自覚をもって無から出発しようといっているのであり、同時に他の新劇に対してもその自覚求めているのである新劇始まっていらい三十余年かたっていない。西欧数百年もかかって積みあげてきた一つ芸術様式を、それとは全く異質芸術感覚によって消化するという「大事業」において、新劇界が早くも大きな顔をした専門家名優出しているのは、はなはだ笑止ではないかというのが、私たちのいい分である。 築地小劇場運動のほぼ二十年前、すなわち明治の末に坪内逍遥文芸協会を、小山内薫自由劇場起こした当時の彼らは自分たちの目前にある新し芸術様式が完全に異質のものであることを自覚し西欧の「劇とは何か」という問いを自からにつきつけ、それを身につけるためには「どうしたらよいか」について、切実に素朴に謙虚に模索していた。私たちはその初心に立ち返ろうというのにすぎない。「旗幟」とか「新味」とかはもうたくさんである。むしろ過去の新劇運動弱点は、あたかもそのつどどうしたらよいか」がわかっているような顔をしてきたことにあり、またそのためにしばらくすると、その「ごまかし」と「ぼろ」とが衆目さらされるという結果招いてきたことにあった。 それは日本近代化一般に通じ弱点であって新劇はそのもっとも適切な象徴考えるが、そのことについては、また改めて書く。 — 三つの疑問答え現代演劇協会」について 福田恆存

※この「現代演劇協会・「雲」の結成」の解説は、「劇団雲」の解説の一部です。
「現代演劇協会・「雲」の結成」を含む「劇団雲」の記事については、「劇団雲」の概要を参照ください。

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