法人統合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/27 15:16 UTC 版)
当初は国立大学法人法の制度上、国立大学法人は1つの国立大学しか運営できなかったが、2019年5月17日の通常国会で国立大学法人法の一部改正を規定した「学校教育法等の一部を改正する法律(令和元年5月24日法律第11号)」(文部科学省)の成立に伴い、下記の通り国立大学法人の統合が協議されている。 2018年12月25日、名古屋大学と岐阜大学の国立2大学法人は、両法人を統合することについて、合意書を締結。2020年度にも「国立大学法人東海国立大学機構」を新設し、傘下に両大学が入ることで、経営の効率化と研究・教育分野の強化を目指すことが発表された。2020年4月1日、名古屋大学と岐阜大学の国立2大学法人を統合することを規定した「学校教育法等の一部を改正する法律(令和元年5月24日法律第11号)」が施行され、「国立大学法人東海国立大学機構」が設置された。 2018年5月29日、小樽商科大学、帯広畜産大学、北見工業大学の国立3大学法人は、2022年4月に「国立大学法人北海道連合大学機構(仮称)」を新設し統合することについて、基本合意書を締結。その後、2020年3月4日に3大学が法人統合に関してまとめた中間報告により、新法人名を「国立大学法人北海道国立大学機構」とし、その本部を帯広市内に置くことが決まった。この統合のための法案は、奈良教育大学と奈良女子大学の統合と合わせ、2021年3月2日に「国立大学法人法の一部を改正する法律案」として閣議決定。この法案は2021年4月22日に衆議院で、5月14日に参議院で可決され、5月21日に法律第41号として公布された。施行は2022年4月1日。 2018年7月27日、奈良教育大学と奈良女子大学の国立2大学法人は、2021年度に「国立大学法人奈良(仮称)」を新設し、統合することについて、合意書を締結。また、2021年3月2日に国立大学法人法の一部を改正する法律案」が閣議決定され、両大学を置く統合新法人を「国立大学法人奈良国立大学機構」とすることが決まった。法案の審議経緯、公布施行は上記、小樽商科大学、帯広畜産大学、北見工業大学の法人統合を参照。 2019年3月29日、静岡大学と浜松医科大学の国立2大学法人は、2022年度に「国立大学法人静岡国立大学機構(仮称)」を新設すること、並びに新法人の傘下となる両大学を静岡地区大学、浜松地区大学の2大学に再編することについて、合意書を締結。 両大学の統合再編には、強い反対の動きもある。統合再編が他の統合事例とは異なり、法人統合のみならず大学(特に静岡大学の2分割)を伴い、地元(静岡市)の理解を得られる前に推進している事から、静岡地区の教員・学生を中心に強い反対運動が起きている。ただし、静岡大学においても法人の統合自体には反対の動きはない。両大学の法人統合は、具体的には、(1) 浜松市にある静岡大学浜松キャンパス(工学部、情報学部)と浜松医科大学を浜松地区大学、(2) 静岡市にある静岡大学静岡キャンパス(人文社会科学部、教育学部、農学部、理学部)を静岡地区大学、と名称することである。 しかしながら、この大学機構(アンブレラ方式)発足については大学内部からの教職員の反対署名・請願が多数出されたほか、2019年8月に学生から合意の説明を求める1000名を超える署名が出された。また、2019年8月には静岡市議会が超党派で反対を文部科学省に申し入れるなど、反対の動きが活発化しており、今後、波乱が予想されるとの指摘もある。 反対の動きは、静岡大学の静岡キャンパスを中心としたものだが、同大の浜松キャンパスでは、新大学の大学名称をめぐって、対立がある。大学名として有力とされる「浜松医工学科大学」が採用された場合、静岡大学情報学部は、情報学部の存在感が薄れてしまうことを懸念し、「もし決定されるようなことがあれば、大学統合への参加を見直すことも辞さない覚悟」として、2019年7月に情報学部情報社会学科が反対決議を出したほか、情報学部の学生有志も438名の反対署名を同大学長に提出した。 さらに、2019年9月30日の静岡市議会本会議では、両大学の法人統合・再編について、静岡市の田辺信宏市長が、「大学の統合再編については、地元自治体の十分な理解を得て進めることが最も重要」という文部科学省の通知(2019年7月12日)を根拠として、「静大の取り組みは不十分な状況にあるといわざるを得ない」と答弁し、大学の説明不足を批判した。田辺市長は、同答弁で、静岡大の石井潔学長から、「(市に)ゼロベースでの議論をお願いしたいと申し出があった」とも明らかにした。
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