永遠の自然とは? わかりやすく解説

永遠の自然

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/31 23:42 UTC 版)

ヤーコプ・ベーメ」の記事における「永遠の自然」の解説

これから神の欲求が外へと向かうことで世界形成されるのだが、この後直接に我々が目にするような自然が創造されるというのではない。次いでベーメが語るのは、可視的自然の根源たる永遠の自然である。彼は七つの霊もしくは性質によって万物形成されるという。性質(Qual)とは苦(Qual)であり源泉(Quelle)である。これは単なる語呂合にも思われるかもしれないが、これから述べるようにベーメにとって言葉やひびきは存在本質深く関わったものである内容からすれば、存在さまざまなかたちに分かれ性質をもつということは始元融合からの乖離として苦であるという意味にとれる。 まず第一の性質、それは欲望であり、内側引きこもる働き持っている渋さ堅さとも表現される欲望は、自分自身引きずり込み濃縮して闇となる。既に無底の内で働いていたこの原理は自然の第一原理である。 第二の性質は第一のものと逆に外へ向かう運動流動性。これはつきさして暴れ引きこもる力に抗して上昇逃走しようとする。この性質は『アウローラ』では甘さ呼ばれ、他では苦さ呼ばれる第三上の二つの力の張り合いである不安。内へ向かう力と外へ向かう力は互いに反発しあい、一方強くなれ他方も強まるので安定するとがない。それは相反する面が互いに運動する車輪回転のようでもある。不安の輪の回転限りなくエセンチア(存在物、本性)を生み出す。以上の三つの原理第一原理万物質料の源である。 さて、第四性質は熱とか火花呼ばれ、闇を焼き尽くして光を生じさせる。この原理によって前の第一原理三性質、暗い火が明るい火へと転じ死のうちから生命現れる。不安の輪の残酷な回転結果的に火の鋭さ、そして輝かし生命生む第五性質は光であり、熱から出たものでありながら焼き尽くす破壊的な熱とは反対にやわらかく、優しい。この性質歓び恵み原理であってここから五感(見、聞、感、味、嗅)が誕生する。愛に抱かれ、ここで統一され多様な力は再び外へ向かって広がりゆく。 この広がり、すなわち第六性質はひびき、音、そしてことばである。内にあったものがこの性質によって外へ顕わになり、語られるのである。ひびきは認識可能にし、自然の理を明らかにして知と関係する精神ここまで細分化しつつ展開してきたわけだが、理に至って自らの展開を十分に認識する。 そして最後第七性質においてこれまで展開してきたものに形が与えられるこのようにベーメにとっての世界の創造とは、神が一気制作することではなく、神の想像働き自己展開してゆくことである。その際否定的な要素大きな役割果たしているのに注目すべきである世界生き生きしたものになるためには障害不可欠なのであるドイツ観念論完成ヘーゲルベーメを「ドイツ最初哲学者」と呼んだ対立する力の働き合いの内に絶対者自己実現してゆくという彼の哲学ベーメの内にその原形有していると言える。ただしヘーゲルベーメの「混乱したドイツ語」には辟易していた。この項では概略見てきたが実際にベーメ思想はさらに複雑で、錬金術特殊な用語や記号との対応があり、言葉の使用法は通常のものとは大きく離れている。世界の内に甘さ苦さ働いていると言われても、普通の人間奇妙な印象を受けるだろう。彼が神秘学かぶれた無学な靴職人」とそしられるとしても、その晦渋な文章考えれば理由がないわけではない

※この「永遠の自然」の解説は、「ヤーコプ・ベーメ」の解説の一部です。
「永遠の自然」を含む「ヤーコプ・ベーメ」の記事については、「ヤーコプ・ベーメ」の概要を参照ください。

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