検査形式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/09 02:12 UTC 版)
「児童向けウェクスラー式知能検査」の記事における「検査形式」の解説
WISCはウェクスラー知能検査の一種で、16歳以上にはウェクスラー成人知能検査(Wechsler Adult Intelligence Scale、WAIS)、3歳から7歳3か月まではウェクスラー就学前幼児用知能検査(英語版)(Wechsler Preschool and Primary Scale of Intelligence、WPPSI、ウィプシー)を用いる。これら検査の適用年齢には多少の重複があり、5歳からWPPSIーIII(2018年12月22日販売) 7歳3カ月の子供は、WPPSIでもWISC-IVでも適用できる。同様に16歳0ヶ月から16歳11ヶ月の子供はWISC-IVまたはWAISで検査することができる。この場合、両方の検査を行うと異なる床効果(英語版)と天井効果(英語版)が得られ、子供の能力と弱点をより良く理解できる。つまり、精神的な発達遅延を持つ16歳の子供に対してWISC-IVで検査すると、子供が持つ知識の最低水準を知ることができるかも知れない。 WISC-IVは15種類の下位検査で構成されていた。そのうち10種類については前バージョン(WISC-III)の一部を構成していたものである。5種類の新検査は3つの主検査(絵の概念 Picture Concepts、文字・数字の整列 Letter-Number Sequencing, 行列推理 Matrix Reasoning)と2つの補助検査(仲間外れの絵の推理、共通概念の推理 Cancellation and Word Reasoning)で構成されていた。補助検査は、ある稀な場合において子供を適応させたり、中断などの事情により無効となった結果を補ったりするのに用いられた。検査者の交代は、検査全体を通して2回以下、各一次指数検査では1回しか許されていなかった。WISC-IVでは、5つの個別スコアの合計が得られる。WISC-IVでは全般的な知的能力を示す全検査IQ(FSIQ)と、以下に示す4つの構成スコアが結果として示される。 言語理解指標(Verbal Comprehension index、VCI) 知覚推理指標(Perceptual Reasoning Index、PRI) ワーキングメモリ指標(Working Memory Index、WMI) 処理速度指標(Processing Speed Index、PSI) なおワーキングメモリ指標、処理速度指標はそれぞれ注意記憶指標(Freedom from Distractibility Index)、知覚統合指標(Perceptual Organization Index)と呼ばれていたものである。 10種類ある主試験の各得点は均等な比重で全検査IQの得点に割り振られる。言語理解指標と知覚推理指標はそれぞれ3つの下位検査があり、30%ずつ点数が配分される。ワーキングメモリ指標と処理速度指標についてはそれぞれ2つの下位検査があり、それぞれに得点が配分される。WISC-IVでは下記3つの下位検査について、7つのプロセス得点も得られる。 積木模様(Block Design) 絵の抹消(Cancellation) 符号(Digit Span) これらの得点は認知能力に関するより詳細な情報を得ることを意図していて、下位検査の実施に役立つものである。 言語理解指標(VCI)の補助検査は以下の通りである。 単語 - ある与えられた言葉の意味を説明する 類似 - 2つの語の共通点を説明する 理解 - 社会的ルールや日常的な問題の解決について答える 知識(補足) - 一般知識(英語版)についての質問 語の推理(補足) - ある特定の語につながるヒントに関する作業、各ヒントは対象物/語句/概念に関する追加情報になる 言語理解指標は語彙概念形成(子供の語彙理解力)の全体的な測定結果を示し、環境から学んだ知識から影響を受ける。 知覚推理指標(PRI)の補助検査は以下の通りである。 積木模様 - 子供は示されたモデルと同じパターンで赤と白の積木を集めて並べる。この作業は時間制限を設けて行われ、速さを向上させるためより難しいパズルに対する追加得点が与えられる場合もある。 絵の概念 - 子供は2、3行に並べられた絵を見せられ、1行に1つずつ選んで集めるものを決めるよう求められる。 行列推理 - 子供は1列に並べられた絵が示される。このうち1個の絵は伏せられていて、代わりに四角が書かれている。その抜けた部分に入る適切な絵を5つの選択肢の中から選ぶ。 絵の完成(補助検査) - 子供は、一部分が欠けた一般的なあるものを描いた絵が示される。その欠けた部分を指し示すかまたは名前で示すよう求められる。 ワーキングメモリ指標(WMI)の補助検査は以下の通りである。 数唱 - 口頭で聞いた数列をそのまま復唱する、または逆順で答える 語音整列 - 子供には一連の数値か文字列が示され、あらかじめ指定された順に並べ替えてその数値や文字列を試験官に答える。 算数(補助検査)- 口頭で算数の問題が与えられる。時間制限あり。 処理速度指標(PSI)の補助検査は以下の通り。 符号 - 8歳以下の子供の場合、ある符号に従って異なる行を見つけ印をつける。8歳を超える子供の場合、数値・文字列の符号を書き写す。この検査は時間制限を設けて行われ、速く終えると追加得点が与えられる。 記号探し - 子供には数行に並べられた記号と、選ぶべき記号とが示される。そして、各行に選択対象となる記号があるかどうか記すよう求められる。 絵の抹消(補助検査) - 子供はランダムに並べられた絵の中から選ぶべき対象となる絵に記をつける。この作業には制限時間が設けられる。
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