東江料理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 15:30 UTC 版)
中国語で「東江菜」(トンジアンツァイ Dōngjiāng cài、客家語 ドゥンゴンツォイ)という。広東省の東江流域の恵州や、上流の梅州周辺の料理を指す。これらの地域は香港、台湾、東南アジアに移住した客家の出身地であり、もっとも広く知られた客家料理の系統といえるが、逆に東江料理だけを客家料理と誤解する例も多い。広東省内の料理ということで八大菜系では広東料理の一流派と扱われている。基本的にトウガラシは飾り程度にしか使わない。 主な料理 梅乾扣肉(客家語 モイゴンキウギュッ) - 豚肉と漬け菜の蒸し物。三枚肉を茹で、醤油と砂糖を塗った後、軽く焼いて8mm程度にスライスし、干したセリホン(zh)の漬け物である「梅乾菜(「黴乾菜」の当て字)」を水で戻して醤油と砂糖をまぶし、鍋で共に蒸した料理。 釀豆腐(ギョンテウフー) - 肉詰め豆腐。宴会に必ず出される有名な客家料理。「釀」とは「餡を入れる」という意味の客家語の動詞であり、即ち細かく切った肉の餡を三角形に切った豆腐の間にはさみ入れた料理である。蒸すだけの場合も、蒸してからさらに野菜と炒める場合がある。南宋の末期、元の侵入によって華南に逃れた客家人が、小麦粉が採れないこの地で、春節に必要な餃子皮の代の豆腐を使ったのが始まりという俗説がある。ニガウリに肉を詰めた「釀苦瓜」もある。この料理はマレーシアではおでんの様な煮物に、タイではさらに麺料理の様に変容している。 塩焗鶏(ヤムクッカイ) - 鶏肉の塩蒸し。清代に帰善県(現恵州市恵陽区)の製塩労働者が、昼食用に持ってきた鶏の煮物を紙に包んで塩の山に置いたところ、熱された塩の風味が鶏肉にうまく入り、美味であったため、この手法が伝わったという。客家鹹鶏(ハッカーハムカイ)ともいう。 黄酒鶏(ヴォンチウカイ) - 鶏肉の老酒煮。伝統的には春節や産後の肥立ちのために作られる料理で、妊娠した人のいる家庭ではその家の姑が前もって糯米、酒餅、酒麴で「客家黄老酒」を醸造し、産後のために用意する。 炒鶏酒(ツァウカイチウ) - 鶏肉の米酒煮。上記を白い米酒で作ったもの。 酸菜豬肚湯(ソンツォイズトゥトン) - セリホンなどの漬け物とブタの胃のスープ。 艾草瘦肉湯(ギョイツァウツェウギュットン) - ヨモギの葉と豚肉のスープ。 清燉鶏 - 鶏の水煮 鴨甫紹菜 - アヒルの干し肉と白菜の蒸し物。 煎釀蛋角(ジェンギョンタンコッ) - 卵焼き餃子 蘿蔔粄(ローペッパン) - 大根餅 艾粄(ギョイパン) - よもぎ餅 腌麺(アムミェン) - 魚醤和えそば。梅州で朝食によく食べられる。 盆菜(プンツォイ) - 大きなボウルにエビ、豚肉、鶏肉、シイタケ、野菜などの調理した食品を盛り付けて出す東莞系客家の行事食。
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