暴追関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 19:57 UTC 版)
暴力団対策法実施後の1994年、当局から受けていた再発防止命令を無視してみかじめ料の要求を行ったとして、傘下組織の組員が検挙された。これは全国初の同法違反に基づく検挙例であった。2006年には福岡県警の製作による反暴力団関係のビデオ(『許されざる者』)に関し、これの学校での上映を検討していた市教委に対して、上映の中止を要望する旨の申し入れを行ったことが注目を集めた。 最高顧問の林武男名義で送付されたその請願書は、当該ビデオの上映を人権侵害に当たる行為であるとし、それによって起こりうる組員の子息らへのいじめの誘発への懸念の旨などを記していた。これに対して市教委は返答が可能な段階には未だ至っていないとし、県警側は指摘されたような内容のものにはあたらないと反論している。 北九州市小倉南区に新たな事務所を設立した2010年には、その立地が小学生児童らの通学路に隣していたことが問題となった。これを受けて北九州市は、近辺への監視カメラの配置を決定。それからほどなくして福岡県では暴力団排除条例が実施の運びに至り、安藤隆春警察庁長官が現地を視察。工藤会を壊滅に追い込む「頂上作戦」を実行するよう捜査員らに訓示している。 改正暴力団対策法に基づく「特定危険指定暴力団」への指定(2012年)を経て、2014年にはアメリカ合衆国財務省の金融制裁対象となる。日本の暴力団において、山口組・住吉会・稲川会に続く4例目の指定であった。 福岡県警は一連の市民襲撃を工藤会の組織犯罪と見て、2012年に80人、2013年には86人の構成員を摘発したが、県警の工藤会捜査が目前の事件処理や被害者警護に手を取られ、トップの野村悟総裁やナンバー2の田上不美夫会長ら上層部の関与を含めた組織犯罪の解明が進んでいない現状を受けて、米田壮警察庁長官ら警察庁首脳はこうした状況を抜本的に改めるため、工藤会を「凶悪テロ集団」と位置づけ、福岡県外からも機動隊員150人を動員し県警の捜査体制を支援した。 同年8月から11月までの間に暴力団排除条例にもとづく「暴力団立入禁止」の標章を掲げたスナック経営者らが連続して襲撃されたことを受けて200人体制にした。2013年2月20日には、一挙に300人に増員された。機動隊員らは工藤会組員に対する徹底的な職務質問を行い、組員らの動きを牽制しつつ、その間に県警の捜査員を市民襲撃事件の捜査に集中させることとした。そして、県警は2014年9月に16年前の元漁協組合長殺害容疑でトップの野村悟総裁、ナンバー2の田上不美夫会長の逮捕に踏み切った。 さらに、県警による野村総裁らに対する事件の摘発は続いた。2014年10月1日、福岡市内の路上で2013年1月に女性看護師を組織的に殺害しようとした組織犯罪処罰法違反などの容疑で、県警は野村総裁、田上会長、ナンバー3の菊地敬吾理事長ら幹部16人を逮捕した。16年前に殺害された元漁協組合長の孫である男性歯科医師が刺傷された事件でも、県警は野村総裁らを2015年5月22日に組織犯罪処罰法違反の疑いで逮捕した。県警は同年6月16日、野村総裁が2013年までの4年間で、傘下組織幹部らから集めた金のうち、約2億2700万円が野村総裁の個人所得にもかかわらず、申告せずに所得税約8800万円を脱税したとして、野村総裁ら4人を所得税法違反の疑いで逮捕した。同年7月6日には、北九州市小倉南区の路上で2012年4月に福岡県警の元警部の男性が拳銃で撃たれ重傷を負った事件で、県警は野村総裁ら最高幹部を含む計18人を組織犯罪処罰法違反と銃刀法違反の疑いで逮捕した。12年8月から11月にかけて起きた飲食店などへの連続テロ事件でも、県警は同年11月25日、ナンバー3の菊地敬吾理事長ら11人を現住建造物等放火容疑などで逮捕した。
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