日本における家庭小説とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 日本における家庭小説の意味・解説 

日本における家庭小説

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/22 02:03 UTC 版)

家庭小説」の記事における「日本における家庭小説」の解説

明治20年以後近代的な小説文体完成すると、各新聞家庭小説掲載するうになるそれ以前通俗小説は、政治小説撥鬢小説村上浪六)などがあったが、家庭小説主として女を主人公とし、その不幸な境涯描き読者同情を涙をそそるものであった。 もっとも人気博したのは、明治30年代徳冨蘆花の『不如帰』と尾崎紅葉の『金色夜叉』で、これらはのち新派レパートリーとして定着する。その源流は、米国ダイムノヴェル呼ばれる女性向け通俗小説であるとされ、『金色夜叉』については、その籃本はバーサ・クレイの『女より弱きもの』であると堀啓子によって確定されている。 家庭小説王者とされたのは菊池幽芳で、大正末期まで活躍し、『己が罪』をはじめとして多くヒット作出した作家多く新聞社専属の形をとり、朝日新聞半井桃水村井弦斎武田仰天子原抱一庵草村北星、「読売新聞」に紅葉とその門下小栗風葉泉鏡花徳田秋声などが依り、「大阪毎日新聞」「東京日日新聞」には幽芳、田口掬汀それ以外に、渡辺霞亭柳川春葉江見水蔭村井弦斎などがあった。小杉天外の『魔風恋風』、風の『青春』などもこの一種である。 大正後期まで、新聞小説概して家庭小説講談速記二本立てだったが、後者中里介山直木三十五などの時代小説にとって代わられ、これらは「大衆小説」と呼ばれた。 「家庭小説」の名称は、家庭で読むにふさわしいという意味が原義だが、実際に恋愛不貞セックスなどが描かれることがあり、女学校では読むことを禁止されることもあった。 一般的な文学史では黙殺されることが多いが、樋口一葉などもこうした定型踏まえて書いており、夏目漱石朝日新聞入社第一作虞美人草』は家庭小説であり、伊藤左千夫野菊の墓』もそうである。初期ゾライズムとされる天外の『はつ姿』などもこの一種であり、二葉亭四迷朝日新聞連載した其面影』も家庭小説一種である。漱石推薦朝日新聞連載した大塚楠緒子小説など家庭小説である。 春の『生さぬ仲』、亭の『渦巻』など、大正期にもなおヒット作出しており、菊池寛真珠夫人のような新しい家小説現れるが、これらは「通俗小説」という蔑称をもって遇された。大正期には長田幹彦久米正雄中村武羅夫加藤武雄三上於菟吉が、新し通俗小説書き手として台頭し、また連載の場としても、『主婦之友』『婦人倶楽部』などの婦人雑誌現れた。 家庭小説前田愛らによって研究されたが、依然として本格的な研究はなされていない。その流れは、昭和入り、生活が近代化する中で、中野実佐々木邦らのユーモア小説石坂洋次郎らの恋愛小説などにとって代わられる

※この「日本における家庭小説」の解説は、「家庭小説」の解説の一部です。
「日本における家庭小説」を含む「家庭小説」の記事については、「家庭小説」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「日本における家庭小説」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「日本における家庭小説」の関連用語

日本における家庭小説のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



日本における家庭小説のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの家庭小説 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS