日本における実験概念と「実験」という言葉の歴史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/11 10:01 UTC 版)
「実験」の記事における「日本における実験概念と「実験」という言葉の歴史」の解説
明治以前 936年の藤原師輔(そうすけ)『九歴』や1130年の藤原宗忠『中右記』に「実験」の用例があり、「ある事物が本当かどうかを調べ確かめること」の意で、experimentの本来の意味と同じである。 日本の科学者で初めて「実験」という言葉を用いたのは天文学者の麻田剛立(1734-99)で、1775年の書簡や『実験録推歩法』(1786年)で使っている。 医学や蘭学者では、杉田玄白の『形影夜話』(1810年)で「実験」が初見だが、その後は実験と共に「試験」が用いられるようになる。 幕末の物理・化学関係者では「試験」の方が多く使われた。 明治以後 1869年に三崎嘯輔がexperimence,observationを「実験」、experimentを「試験」と訳す。西周が1870年にexperimentを「試験」、observationを「実験」と訳して以後、それが一般的になる。 文部省は1872年の学制で学業試験を「試業」と呼んだ。そして科学実験のことを1881年に「実地試験」、1891年に「試験」と呼んで、experimentを「試験」と確定した。その頃の東京大学の規則類では「実験」は「実習」または「実地試験」の意味で用いられた。 1886年に東京帝国大学改組に伴い、学科課程の中で「物理学実験」「化学実験」が用いられ、講義とは別の時間で「実験」があてられた。このときの「実験」は「実習」と「実地試験」と「試験」の意味を併せ持っていた。 1887年の和久正辰の『理科教授法』でexperimentを初めて「実験」と訳した。その後「実験」の訳語が増え、1900年の「小学校令施行規則」で「実験」の訳語が決定的となった。
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