日本における対処
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 16:10 UTC 版)
現在の日本においては狂犬病予防法により、予防、感染発生時の対処、蔓延防止の手段などが定められている。 予防措置 狂犬病予防法はイヌに適用されるほか(狂犬病予防法2条1項1号)、狂犬病を人に感染させるおそれが高いものとして政令で定める動物にも適用される(狂犬病予防法2条1項2号)。政令ではネコ、アライグマ、キツネ、スカンクにも狂犬病予防法を適用することとしている(狂犬病予防法施行令1条)。 発病後の治療法が存在しない以上、狂犬病は感染の予防そのものがもっとも重要な病気である。そのため、日本国内でイヌなどへの感染が獣医師によって確認された場合には狂犬病予防法第8条、9条により、患畜の速やかな届出と隔離が義務づけられている。狂犬病は人獣共通感染症であることから、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)で四類感染症に指定されている(感染症法6条5項5号)。ウシなど法律・政令で定められた特定の動物の狂犬病については家畜伝染病として家畜伝染病予防法の適用を受ける。家畜伝染病予防法では、ウシ、ウマ、ヒツジ(綿羊)、ヤギ、ブタが指定されており(家畜伝染病予防法2条)、家畜伝染病予防法施行令で、水牛、シカ、イノシシが追加されている(家畜伝染病予防法施行令1条)。 感染発見後 隔離されたイヌなどは、狂犬病予防法第11条により、狂犬病予防員(首長が任命した獣医師)の許可を受けなければ殺してはならないが、狂暴化するなど人命への危険や隔離が困難であるなど、緊急やむを得ないときは殺すことを妨げないとされている。蔓延を防止するため予防員による発生区域での一斉検診および予防接種(同13条)が行われたり、イヌなどについて移動制限がかけられたりする場合もある(同15条)。これら狂犬病の撲滅および蔓延の防止にかかわる条項違反については、罰則が定められている。 これらの動物が狂犬病に感染した場合には、患畜として家畜伝染病予防法第17条に基づき殺処分命令が出されることとなる。命令が発せられた場合には当該患畜の所有者・管理者はこれを受け入れ、速やかに処分を実施しなければならない。この家畜伝染病予防法に基づく殺処分命令の権限は都道府県知事が持つ。
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