日本で使用されている主な地震計
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「地震計」の記事における「日本で使用されている主な地震計」の解説
すでに現役を引退したものも含む。 ミルン(Milne)式地震計 機械式地震計。1894年頃にジョン・ミルンが日本で開発。記録方式は光学式。制振器を持っていない。 大森式地震計 機械式地震計。変位計。1898年頃に大森房吉(東京大学)が開発。固有周期は10秒程度。倍率は20倍程度。記録方式は煤書式。東京に設置され、当時は日本国内および日本国外で広く使用されていた。国立科学博物館、竜天天文台、水沢VLBI観測所、気象庁松代地震観測所などに現存する。 田中館式地震計 1900年頃に田中館愛橘が開発。低倍率(等倍)。蒸気機関のジェームズ・ワットによる平行運動装置を用いた振子を水平動2成分の計測に使い、ぜんまいばねを用いた振子を上下動の計測に使う風変わりな地震計。明治後期から大正期にかけて試験的な強震計として、東京の中央気象台で使用された。 ウィーヘルト(Wiechert)式地震計 機械式地震計。変位計。1904年にエミル・ウィーヘルト(ドイツ)が開発。錘の質量が1 tの大型のものと200 kg(水平動用)、80 kg(上下動用)の小型のものがある。記録方式は煤書式。1 tの錘のものは1つだけ現存し、長年京都大学が所有していたが現在は名古屋大学にある。小型のものは中央気象台(現・気象庁)が輸入し、全国の気象台や測候所に配備した。 ガリッチン(Galitzin)式地震計 世界初の電磁式地震計。速度計。1907年にボリス・ガリツィン(英語版)(ロシア)が開発。水平動用はツェルナー吊り型水平振子、上下動用はユーイング型上下振子を使用。倍率は1000倍以上。記録方式は光学式。 大森式強震計 機械式地震計。大森房吉が開発。 今村式強震計 機械式地震計。今村明恒(東京帝国大学)が開発。固有周期は10秒(水平動用)、5秒(上下動用)。倍率は低感度(2倍)。記録方式は煤書式。関東地震の東京の揺れなどを記録。 佐々式大震計 機械式地震計。変位計。1934年に佐々憲三(京都大学)が開発。記録方式は煤書式。京都大学阿武山地震観測所に所蔵。 石本式加速度計 機械式地震計。加速度計。1931年(水平動用)と1933年(上下動用)に石本巳四雄が開発。固有周期0.1秒の短周期地震計。 簡単微動計 気象台や測候所に配備された。 プレスユーイング式地震計 気象庁50型強震計 機械式強震計。変位計。1950年開発。51型や52型もある。固有周期は6秒(水平動用)、5秒(上下動用)。倍率は1倍。記録方式は煤書式またはペン書き式。1990年代半ばまで気象庁の地震観測の主力であった。気象庁87型強震計配備時に運用廃止になったものが多い。 気象庁59型地震計 光学電磁式地震計。1959年開発。倍率は100倍。記録方式はペン書き式または煤書式。1990年代半ばまで気象庁における地震観測の主力であった。 気象庁61型地震計 電磁式地震計。1961年開発。倍率は200倍。記録方式はペン書き式。1990年代半ばまで気象庁における遠地地震観測の主力で、一部の気象官署に装備された。 気象庁67型地震計 電磁式地震計。加速度計。1961年開発。記録方式は光学式。微少な地震の観測に使われた。1990年代半ばまで一部の気象官署に装備された。 SMAC型強震計 機械式強震計。加速度計。1953年に強震測定委員会が開発。記録方式はペン書き式。最大1 G程度まで計測可能。 DC型強震計 旧建設省が開発。 気象庁87型強震計 電磁式強震計。加速度計。測定範囲は0.1〜10 Hz。記録方式はフロッピーディスク。最大1 Gまで計測可能。気象庁95型震度計の運用開始により運用廃止。 気象庁95型震度計 加速度計。震度を計器で測定するために気象庁が開発。測定範囲はDC〜41 Hz。記録方式はICメモリーカード。最大2048 galまで計測可能。1996年より運用開始。計測震度を計算する機能がある。 K-NET95型強震計 強震計。加速度計。旧科学技術庁の開発。記録方式は内蔵メモリー。18 bit、108 dB以上の広ダイナミックレンジを持ち、最大2000 galまで計測可能。1996年10月より運用開始。全国に1000台設置。 K-NET02型強震計 力平衡式強震計。加速度計。K-NET95型強震計の次世代版。記録方式は内蔵メモリ。K-NET95型の10倍の分解能を有し、最大4000 galまで計測可能。2004年6月より運用開始。 K-NET11型強震計 K-NET02型強震計の後継機として開発。最大約7800 galまで計測可能。 KiK-net11型強震計 KiK-net02型強震計の後継機として開発。地表設置タイプでは最大約7800 galまで計測可能。 STS-1型地震計 負帰還式広帯域地震計。速度計。1982年にストレッカイセン(Streckeisen)らが開発。水平動用はガーデンゲート型水平振子、上下動用は半円形板ばねのラコステ型上下振子を使用している。固有周期は360秒、減衰定数は0.707である。 STS-2型地震計 負帰還式広帯域地震計。速度計。固有周期は120秒である。測定範囲は0.008〜10 Hz。最大0.014 m/sまで計測可能。 自己浮上式海底地震計 OBS(Ocean Bottom Seismograph)、海面から自由落下させ、水深6,000 m程度まで設置する事が出来る。
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