新橋・東京延伸計画
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 18:48 UTC 版)
「東京モノレール羽田空港線」の記事における「新橋・東京延伸計画」の解説
2002年1月、親会社のJR東日本が長期計画として、東京モノレールを浜松町(新駅)より新橋駅に延長する計画を発表、日本経済新聞に掲載された。路線の用地取得問題に関しては、JR線上空を使用することで目処がついている。ただし、途中のルートはおろか、新橋駅の設置場所や、途中駅を設けるかについては明らかにされていない。駅用地は、ゆりかもめ新橋駅付近などが候補に挙がっている。また新橋への延伸工事の着工は、羽田空港国際線ビル駅(現:羽田空港第3ターミナル駅)の建設と浜松町駅の拡張工事が完了してからになる予定である。 2010年9月には、新橋駅もしくは東京駅に延伸するため本格的な検討に入ったと、東京新聞が報じている。延伸が検討された理由は、浜松町駅に乗り入れている路線が限られており、JRと東京モノレールを利用して成田空港から羽田空港に移動すると乗り換えが2回必要であるため、競合する他の交通機関に劣ることである。東京駅に延伸した場合、成田エクスプレスと直接乗り換えが可能となり、新橋駅延伸でも同駅を成田エクスプレス停車駅に変更することで、いずれの場合も乗り換えが1回で済み、移動時間が短縮される。東京駅に延伸した場合、試算では1,000億円超かかり、新橋駅の場合では駅建設を除く費用は1/3に、工期も早ければ数年程度で完成できるとしている。 2013年2月、JR東日本の社長定例記者会見で、浜松町駅西口周辺開発に合わせて、JRとモノレールを対象とする駅全体の改築を計画していることを明らかにしたが、モノレールの東京駅への延伸構想については、工期やコストなどの観点から、現時点での事業化は難しいとの考えを示した。しかし、引き続き検討を進めていきたいとしている。 一方で、2013年11月には、JR東日本が田町駅から営業休止中の東海道貨物線を活用して羽田空港へ向かう鉄道路線(羽田空港アクセス線)について整備の検討に入ったと報じられた。2014年8月、JR東日本が国土交通省交通政策審議会の東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会で明らかにした計画では、田町駅付近で東海道本線・上野東京ラインに乗り入れる「東山手ルート」、大井町駅付近でりんかい線・埼京線に乗り入れる「西山手ルート」、東京テレポート駅でりんかい線に乗り入れる「臨海部ルート」の3ルートを建設するとしている。 2014年1月の産経新聞インタビューによれば、JR東日本社長の冨田哲郎は「日本経済、東京という都市にとって、重要なルートになる」と述べている。また、冨田は競合することになる東京モノレールを新路線開業後も存続させる考えを示している。 これに対し東京モノレールは、進行する浜松町駅周辺の再開発に合わせてJR山手線や地下鉄大江戸線などとの乗り換えをよりスムーズにする他、2014年1月の毎日新聞インタビューで東京モノレール社長の中村弘之は、「将来的にはモノレールを東京駅まで延伸する夢」があり「24時間運行の可能性も見えてくる」と生き残りに向けた課題を述べている。 東京都心 - 羽田空港間の鉄道は1998年に京急が本格参入し、1日平均乗降客数はモノレールが約6万5,000人、京急が約8万2,000人と、京急が優勢となっている。ここにJR新線が実現すると三つ巴の激しい争奪戦が展開されることになる。 2015年3月14日の上野東京ライン開通では、宇都宮線・高崎線・常磐線が、東京モノレールの連絡駅である浜松町駅を通過して、京急の連絡駅である品川駅に乗り入れることから、羽田空港への鉄道アクセスについて、さらに京急が優位に立つことが見込まれている。さらに、2019年10月には京急が空港線の加算運賃を最大120円値下げし、普通運賃では京急と大差が付く形となった。一方、東京モノレールは定期運賃を引き下げることで、運行頻度と京急より安い定期運賃を武器に、空港関係者の通勤需要取り込みを図る戦略に出ている。
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