批評や政治的揶揄への転用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 03:43 UTC 版)
「クマのプーさん」の記事における「批評や政治的揶揄への転用」の解説
『プーさん』のシリーズは大衆的な人気とともに批評的にも成功を収めていたが、しかしすべての人間が好意をもって迎え入れたわけではなかった。すでに『僕たちは六歳』を「気取っていて、平凡で、下手」と酷評していたアメリカ合衆国の詩人ドロシー・パーカーは、『プー横丁にたった家』の出版の際『ニューヨーカー』誌上において、「鼻歌っぽく」という最初のエピソードに登場する言い回しをあげつらい「アイドクチャはここではやくもゲーゲーしたのです」とひとり嫌悪をあらわにしている(「愛読者」(Constant Reader) は彼女のペンネーム)。ミルンはのちの自伝『もう遅すぎる』(1938年)の中で彼女の批判に短く触れ、「プー」の本が子供のための本であり、そして「洗練された読者」であるパーカーに気に入られるために、子供にそっぽを向く児童文学作家などいはしない、と記している。 1963年、『プー』の出版元であるダットン社から、『プー・パープレックス』(困りものプー)と題する論文集が出版された。この本は様々な論者による文芸解釈の手引書の形を取っているが、実際にはどの作者も、本式の学者である著者フレデリック・クルーズが演じる架空の学者であり、文芸批評をおちょくった一種のパロディ本であった。この本はその後10年間「プー」に対する批評を沈黙させたと言われている。フレデリック・クルーズはその後2001年に、『プー・パープレックス』の続編にあたる『ポストモダン・プー』をニューヨークのノースポイント・プレスから刊行している。この本は学会フォーラムにおける複数の学者のスピーチをまとめたという体裁の論文集で、やはりすべての論文著者がクルーズが演じる架空の学者であり、ポスト・コロニアリズムや脱構築といった、『パープレックス』以降に発展した批評理論が取り扱われている。 政府がインターネットを検閲・規制している中国では2013年に習近平主席がオバマ大統領と歩く画像がプーさんとティガー(作品に登場するトラ)と並び歩く画像と一緒に投稿されたのが契機となって習近平をプーさんになぞらえる投稿が多くなった。2017年7月プーさんの画像検索や中国語表記「維尼熊」を含むメッセージ送信が一時できなくなった。同時期にドラえもんのジャイアンの中国語表記「胖虎」も検索不可能にされており、これらは最高指導者の習近平中国共産党総書記と容姿が似ているとネットで指摘されたために規制対象になったと一部メディアは推測している。2019年にアメリカのテレビアニメ『サウスパーク』が第299話「Band in China」で中国における検閲に追従するディズニーとあわせてこれを諷刺したところ中国政府から放送を全面的に禁止されて話題となった。
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