手法・流派
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/07 03:43 UTC 版)
コーチングは、観察、信頼関係の構築、傾聴、質問、気づきの促進、誘導、提案等のスキルが必要とされる。ディグマン(Myra E. Dingman)は2004年にコーチングの過程を比較し、次の6段階が一般的にみられるとした。 形式的な契約 関係の構築 アセスメント フィードバックを行い、よく考えること 目標設定 実施と評価 コーチングの成否はコーチとクライアントの「相性」が大きいと考えられているため、初期の契約と関係の構築の段階が重視されている。 『コーチングのすべて』では、主なアプローチとしてインテグラル・コーチング、オントロジカル・コーチング、神経言語プログラミング(NLP)コーチング、ポジティブ心理学コーチング、インナーゲーム、コーアクティブ・コーチング、GROWモデル、行動コーチングが取り上げられている。GROWモデルは強力で利点があるが、心理学者以外がこれを行う傾向があり、基礎的な心理学知識を持たずに実施されている。 経営コンサルタントの山本和隆は、アプローチやコンセプトでの分類として、ヒューマンポテンシャル運動から派生した自己啓発セミナーの関係者に始まる自己啓発系(日本で最も多い)、様々に論争のある神経言語プログラミングを用いるNLP系(最も経済的に成功したコーチのトニー・ロビンズはここの出身で、日本ではPHP研究所がNLPコーチングを提供している)、心理学の一つであるポジティブ心理学に基づいたポジティブ心理学系、カウンセリングや心理療法を行う公的な資格を持つ専門職が専門知識に基づいて行うサイコロジスト系、チリ人のフェルナンド・フローレスの存在論的哲学に基づく哲学系(オントロジカル・コーチング)、ニューエイジ系の思想家のひとりケン・ウィルバーのインテグラル思想を源とするニューエイジ系を挙げている。アメリカのコーチ・UとCTIジャパンの両方の課程を修了しているコーチの本間正人は、この二つの(自己啓発系の)コーチングはルーツが同じであることが感じられ、体系的だが科学的であるとは断言しがたく、科学よりは禅に近いように思う、と述べている。 シティ大学ロンドンの心理学名誉教授スティーブン・パーマーと公認職業心理学者でコンサルタント・コーチのアリソン・ワイブラウが編集した『コーチング心理学ハンドブック』では、コーチング心理学者等に採用されている方法(サイコロジスト系)として、認知行動コーチング、行動コーチング、解決焦点化コーチング等の一般的な方法と、ナラティブコーチング、実存主義的コーチング、ゲシュタルトコーチングといったあまり行われていない方法が紹介されている。 1990年代に主流だった商業的コーチングの養成プログラムは、徐々に論理的でなくなっていき、大学でコーチングや心理学に基づくコーチングの講座が増えるのに逆行するように、ランドマーク・フォーラムのセミナーのようなヒューマンポテンシャル運動の思想やメソッドに近づいている。ヒューマンポテンシャル運動や自己啓発セミナーがニューエイジ(精神世界・スピリチュアル系)と関係が深いためか、神経言語プログラミングなどのコーチングのテクニックと引き寄せの法則(積極思考)等のスピリチュアル系・オカルト思想を混ぜて指導を行い、コーチを名乗る者もいる。
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