弱い(広義の)定常性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/15 04:57 UTC 版)
広義の定常性は信号処理で一般に使われる概念で、弱い定常性(weak-sense stationarity)、広義定常性(wide-sense stationarity)(WSS) あるいは 共分散定常性(covariance stationarity)とも呼ばれる。WSS の無作為過程は1次および2次モーメント(平均と分散)が時間によって変化しない。平均と共分散のある狭義の定常過程も WSS である。 従って、連続時間の確率過程 x(t) が WSS であるとき、その平均関数は以下の制約に従う。 1. E { x ( t ) } = m x ( t ) = m x ( t + τ ) ∀ τ ∈ R {\displaystyle \mathbb {E} \{x(t)\}=m_{x}(t)=m_{x}(t+\tau )\,\,\forall \,\tau \in \mathbb {R} } また、相関関数は以下の制約に従う。 2. E { x ( t 1 ) x ( t 2 ) } = R x ( t 1 , t 2 ) = R x ( t 1 + τ , t 2 + τ ) = R x ( t 1 − t 2 , 0 ) ∀ τ ∈ R . {\displaystyle \mathbb {E} \{x(t_{1})x(t_{2})\}=R_{x}(t_{1},t_{2})=R_{x}(t_{1}+\tau ,t_{2}+\tau )=R_{x}(t_{1}-t_{2},0)\,\,\forall \,\tau \in \mathbb {R} .} 1つめは、平均関数 mx(t) が定数であることを意味している。2つめは相関関数が t 1 {\displaystyle t_{1}} と t 2 {\displaystyle t_{2}} の差にのみ依存し、1変数で表されることを意味している。従って、 R x ( t 1 − t 2 , 0 ) {\displaystyle \,\!R_{x}(t_{1}-t_{2},0)\,} の代わりに次のように記述する。 R x ( τ ) where τ = t 1 − t 2 . {\displaystyle R_{x}(\tau )\,\!{\mbox{ where }}\tau =t_{1}-t_{2}.} WSS な無作為信号を線型で時不変な(LTI)フィルタで処理するとき、相関関数を線型写像と考える。2つの引数の差にのみ依存するため、それは巡回演算子であり、その固有関数はフーリエ複素指数である。さらに、LTI演算子の固有関数も複素指数であり、WSS な無作為信号のLTI処理は非常に扱いやすい。全ての計算は周波数領域で実行できる。このため、WSS 仮定は信号処理アルゴリズムによく使われている。 表 話 編 歴 確率論確率の歴史 アンドレイ・コルモゴロフ ハーン=コルモゴロフの定理 トーマス・ベイズ アンドレイ・マルコフ 伊藤清 確率の定義 客観確率 統計的確率 古典的確率 公理的確率 主観確率 ベイズ確率 確率の拡張 外確率 負の確率 基礎概念 モデル 試行 事象 標本空間 確率測度 確率空間 表記 確率変数(離散型・連続型) 確率分布 同時分布 確率質量 確率密度 用語 独立 期待値 モーメント 独立同分布 確率変数の収束 特性関数 条件付き確率 条件付期待値 確率の解釈 ベルトランの逆説 囚人のジレンマ(3囚人問題・モンティ・ホール問題) サンクトペテルブルクのパラドックス 合接の誤謬 問題 壺問題 クーポンコレクター問題 法則・定理 大数の法則 中心極限定理 コルモゴロフの0-1法則 種々の定理 測度論 ヴィタリの収束定理 優収束定理 確率微分方程式 伊藤の補題 確率過程 独立増分過程 定常過程 マルチンゲール マルコフ過程(マルコフ性・マルコフ連鎖・マルコフ決定過程・部分観測マルコフ決定過程・マルコフ再生過程) ウィーナー過程(ブラウン運動・幾何ブラウン運動・非整数ブラウン運動) ベルヌーイ過程 ガウス過程 自己相似過程 経験過程 中華料理店過程 オルンシュタイン=ウーレンベック過程 応用 数理ファイナンス ブラック–ショールズ方程式 確率的ボラティリティモデル カテゴリ
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