師父として
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/16 18:57 UTC 版)
アメリカに移り住み「中華武術研究所」を開設した時、マクは3つの目標を持っていた。まずアメリカの大学の体育授業において武術を導入すること。次に武術全集を出版し、そして武術表演チームを作ってアメリカ人に武術を知ってもらうこと。娘クリスは、少女時代母のもとで稽古を重ね武術隊の一員としてデモンストレーションを行う休日を送ったと語っている。そして新聞社に勤める夫の助けを借りながら多くの武術書を出版、また教則ビデオなども制作した。 言葉通り1986年、マクはボストン大学の体育科目武術の最初の教師となり、17年間武術と太極拳を教えた。単位も認定され、授業は毎年人気が高く満員であった。1992年からはハーバード大学の演劇コースでも授業を持ち、『白蛇三盜仙草』『猴王拜觀音』『昭君出塞』といった中国の古典劇と武術を融合させた舞台を創作しアメリカン・レパートリー劇場で上演。また自らも中国古曲を使った武当剣舞や、太極拳とリボンを使った表演(演武)“Sword and Ribbon”などを発表した。 1995年「麥寶嬋太極協會」を設立。各国に支部を持ち多くの武術家を輩出した。マクは他の武館と競うつもりはなく、いかなる政治にも関与する気はないと言う。「私は、戦いのためではない健全な鍛練としての武術を推進してきました。高度なレベルの修練とは、技術の高さではなく武術の精神にあります。相手が銃を持っていない限り、恐れるものはなにもありません」。 2000年にはアメリカの老舗武術雑誌である“Black Belt(英語版)”が「今世紀最も影響力のある武術家20」の1人に選出、“Inside Kung Fu(英語版) ”誌も「この30年で最も影響力の大きい武術マスター」の1人に選んでいる。 また2014年には、夫雲龍の75歳の誕生日と金婚式を兼ねたパーティを子供たちが催し、そこで長年地域の文化教育に尽力してきた(夫も中国系移民の為の教育活動を長年継続)夫妻にボストン市から当日の2014年7月17日を「甄氏夫妻の日」と制定したことが伝えられた。 子育ての哲学を聞かれ、彼女は「私はいい母親ではありません」と語った。「私は母としてより師父(師匠)としてふるまうことの方が多かった、大変厳しかったです」と答えている。ボストンにいた若い時には反抗したという息子ドニーも、今ではその功績を称え「彼女は一生を中国武術の為に捧げました、中国の少女が新しい模範を作り上げたのです」とコメントし、今あるのは彼女のお陰、母は私の誇りですと事あるごとに述べている。 2016年、74歳でセミリタイアし、現在は武館を娘クリスと長年の弟子であるJean Lukitshに任せることになった。
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