山羊、その他の肉料理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 03:47 UTC 版)
肉料理にあっては、ヒージャー(ヤギ)も特筆すべき家畜である。ヤギ肉料理の専門店が存在するほか、かつては祝い事の際などに振る舞われることが多く、現在でも農家では「自家用」にヤギを飼っている例も珍しくない。乳は飲まず、主な料理法は刺身と山羊汁であるが、いずれも独特のくさみが非常に強く、好き嫌いが分かれる食材であり、ショウガやフーチバー(ニシヨモギ)で臭みを消して食べる。山羊料理は滋養強壮に良いともされており、ヒージャーグスイ(「グスイ」は「薬」の意)という言葉も存在する。沖縄本島では塩味の山羊汁が主流であるが、奄美大島、宮古島などでは、味噌を入れることもある。 牛肉は、戦前には廃用とされた農耕牛の肉が出回る程度で、食用としてはほとんど流通していなかった。また品質も劣悪であったため、豚肉や鶏肉より安く取り引きされていたという。こうした肉を用いた沖縄料理として唯一存在するのが、山羊汁と同じように内臓を含めた可食部位をごった煮にした「牛汁」である。ステーキは米軍統治時代に広く普及し、輸入肉を使用した廉価なステーキ屋は現在も非常に多い。本土復帰後は石垣牛を筆頭とする和牛の生産も盛んであるが、基本的に換金家畜であるため県民の食卓に上ることは稀である。 「観音アヒル」と呼ばれるバリケン種のアヒル(あひらー)は家禽として古くから飼育されていた。喘息に効くと信じられており、現在もアヒル料理を出す店がある。 馬肉も食用とされたが一般的なものではなく、山羊、牛、アヒルなどと同様に「馬汁」としてのみ食べられる。近年では本土産の馬刺しを提供する店もあるが、沖縄の食文化ではない。 南米に由来する外来料理ではあるが、ニンニクを詰めた鶏の丸焼きは人気が高く、沖縄本島各地に多数のローストチキン専門店が存在する。 西表島や石垣島ではイノシシ(リュウキュウイノシシ)猟が行われ、刺身や炒めもの、汁などで食べられる。 北部の名護市周辺地域ではヒートゥー(イルカ)が食べられる。漁獲制限のため流通量は少ないが、八重山地方を中心にウミガメ料理を出す店もある。禁漁となる以前はジュゴンも食用とされていた。 近年ではほとんどみられなくなったが、かつてはヤギ汁の代用として犬がしばしば用いられ、猫もマヤーのウシルなどにして食べた。農村部や離島の一部ではこのような風習が残されている例もある。
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