導入後と都営バスの現状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/16 04:14 UTC 版)
「都市新バスシステム」の記事における「導入後と都営バスの現状」の解説
1984年に最初の都市新バスシステムを導入した「グリーンシャトル」では、利用者数が1983年度は1日平均15700人と比較して、2年後の1986年には1日平均24700人となり、大幅な乗客増加が見られた。また2番目に導入した「グリーンライナー」でも、減少傾向にあった利用者数が導入1年後には13%の増加をみた など、都市新バスシステム導入の成果として乗客の減少傾向に歯止めをかけたことが確認された。 「グリーンシャトル」でのシステム投資額は5億8千万円(うち国庫補助金1億700万円)、「グリーンライナー」での投資額は5億5千万円 となっている。いずれも都市新バスシステムへのレベルアップ費用はこのうち2億円程度であった。 その後21世紀には、バス車両全体の技術革新とレベルアップにより、都市新バス専用車のハイグレード仕様の一部(冷暖房車、エアサス、低床化やバリアフリー対応など)は、次第に一般車両でも標準装備となっていった。その結果2000年代に入ると、「グリーンエコー(渋谷・目黒)、「グリーンアローズ」(江東)では、車両代替で廃車になった専用車を補充するため一般車を専用車に「格上げ」し、前面にヘッドマークを取り付けるのみで他は一般仕様のまま使用されているが、かつての専用車とほぼ遜色ない機能となっている。ノンステップバスでは一般路線用車両でも、ハイバックシート以外は都市新バスレベルまでグレードアップしている。 また施設や運行環境の面でも大きく進歩し、バスロケーションシステムも全路線に普及し、バス停留所で確認するものから、インターネットにより携帯電話・スマートフォンで見られるバスナビシステムに進化している。停留所設備の更新も進み、上屋や照明付きでベンチが設置されたバス停が増えた。1980年代に「バス復権」を掲げて都市新バスシステムで目指したものは、21世紀にはほぼ達成されたと言える。 1994年1月18日の「グリーンリバー」運行開始 以降は、新たな都市新バスの路線は開業していない。理由としては前述のとおり、バス車両や運行環境が時代とともにレベルアップしたこともある。 だが一方で、1991年の都営地下鉄大江戸線全線開業など、都心部の地下鉄網の整備充実に影響を受けて、バス路線の廃止や区間短縮が進んでいる。かつてのドル箱路線でもあり、開業当日は専用車両に装花するなど華々しくデビューした都03でさえ、新宿駅西口 - 四谷駅間は廃止され、存続区間でも1時間当たり1~2本に大幅減便(2011年時点)されてしまった。 こうした状況は、1990年代後半以降の都営バス事業が低迷傾向なことが背景にある。路線バス事業の低迷そのものは、都営バスに限らず全国の公営・民営バス全体でも同様に見られる問題であるが、東京など大都市の都心部に特徴的な要因として、鉄道路線の延伸や新線建設などによりバスの乗客が奪われ、地域の交通網が便利になるほど逆にバス事業者の経営が圧迫されてしまう、という固有の事情がある。 現行の「グリーンシャトル」専用車 現行の「グリーンスター」専用車 現行の「グリーンリバー」専用車
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