大量廃棄と経済効果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/21 18:17 UTC 版)
廃棄問題の発覚 2017年に売店側が大量に恵方巻を生産し、コンビニの『従業員・アルバイトに販売ノルマや自爆営業といった形で強制的に引き受けさせた事実』を訴える従業員・アルバイトによるツイートが問題の発覚に繋がった。日本で売れ残った大量の商品が廃棄される食品ロスが社会問題となったこと、2018年から農林水産省も「恵方巻について需要に見合う販売」を行うよう、コンビニエンスストアやスーパーマーケットの関係団体に文書で通知する異例の対応も行われ、2019年5月に食品ロス削減推進法案が成立する見込みになった。それに加えて、廃棄商品の加盟店負担が問題視されたこともあり、その経緯から、ファミリーマートやイオンなど、コンビニ・スーパー各社は、2019年度から予約販売を強化するなど、出来るだけ売れ残りや廃棄商品を減らす顧客・加盟店・本部の三方にメリットある対策の仕組みを施策構築へ乗り出し始めた。2021年2月2日の東京都・千葉県・神奈川県・埼玉県の首都圏・沖縄県の124店舗を調査すると、2021年の節分は、2020年よりも更に完売店舗率が増え、完売の時間帯が早まった。更に調査初の寿司店に行列が出来、様々な種別の店でも完売御礼やお詫びの札が目立った。業態別恵方巻完売率を比較するとコンビニは78%、スーパーは96%、百貨店(デパ地下)と寿司店は100%の完売率だった。立地別恵方巻完売率は駅ナカで100%、駅前は88%、「駅からやや離れたところ」は90%だった。2020年の節分において、日本橋高島屋は恵方巻き予約が前年度比7割増、当日売上も2割増加した上で完売した。 問題の背景と新たな課題 恵方巻きの需要と供給 そのため、2019年以降から廃棄量が減り始め、2020年1月に食品ロス削減推進法も施行された事も後押しとなり、同年の節分では「事前予約制の売り切り販売」をする店舗が増え始めた。一部SNS上では「恵方巻き難民」という言葉も生まれ、以前は購入できた恵方巻きを買えなかったという意見もちらほら見受けられた。しかし、一部店舗では未だ、需要を過剰に見越した大量生産→大量廃棄が変わらず行われており、本当に欲しい人の手に恵方巻きが渡らず、一方で過剰生産により大量の廃棄を生む、食品業界の歪な現状の問題点が浮き彫りになった。 過剰生産・大量廃棄の背景 「大量」廃棄の背景には、恵方巻きが日持ちがしない商品であること、販売・製造の各目線では廃棄費用(廃棄ロス)自体よりも販売機会損失(在庫ロス)を産まない製造による収益のが大きいことにある。逆に売り切れは利益を圧迫する原因となり、機会損失が多い店舗ではすぐに対処が必要とされている。棚に空きが目立つと顧客(リピーターなど)の減少などに繋がったり、売れた可能性「機会損失」が生まれるため、メーカー・卸会社・小売店などの『ビジネスに於ける観点では「売り損じるよりは残ったほうがまし」』となってしまう。また、棚に空きが多く欲しいものが売り切れの店を許せないなど、販売側だけで無く消費者側の観点、価値観にも改善の余地はあり、一概に販売側だけの問題とも言い切れない。 著名人によるSNS上での反応 歌手・藤井風は同年2月3日に恵方巻きの代わりに「エクレア」を食べる様子と共に「恵方巻きもう売り切れとった」とツイート。東京03の飯塚悟志も「恵方巻きが売り切れてたから、仕方なくハンバーグ弁当買って帰って一応南南東向いて食べたけど願い叶わないだろうな」とツイートした。 経済効果・廃棄費用 2022年の恵方巻きなど「節分のすし」による経済効果は、「たった1日の経済効果とすれば驚異的な経済効果」である約649億2096万円である。恵方巻の売上高は約300億5600万円で、売れ残りなど廃棄処分による損失額は約12億224万円になる。
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