大アイアース
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大アイアース(古希: Αἴας, Aiās, ラテン語: Ajax)は、ギリシア神話に登場する人物である[1]。長母音を省略して大アイアス[2]とも表記する。
アイアースはサラミース島の王テラモーンの子で、トロイア戦争にはサラミース人を率いて12隻の船と共に参加した。オイレウスの子アイアース(小アイアース)と区別するために大アイアースと呼ばれる[3]。また、『イーリアス』などの叙事詩では、小アイアースと組にして両アイアースなどと呼ばれる。
同じくトロイア戦争に参加したテウクロスとは異母兄弟。トロイア戦争でギリシア勢に参加した英雄では、アキレウスに次ぐ強さを誇った。テラモーンはアキレウスの父ペーレウスの兄弟であり、アイアースとアキレウスとはいとこ同士である。
神話
アイアースは、アキレウスの戦死後、遺骸がイーリオス勢に奪われないよう、オデュッセウスなどとともに奮戦した。戦いが一段落した後、アキレウスの母テティスが、アキレウスの霊を慰めるための競技会を開催した。その際、アキレウスの鎧を賭けた争いにオデュッセウスとともに参加した。争いの判定はネストール、アガメムノーン、イードメネウスに託された。どちらに軍配を上げても、後々どちらかの怒りを買うことになるため、彼らはイーリオスの捕虜に判定を託すことにした。どのような判定が下るにしても、怨みがイーリオスに向かうので都合が良いと考えたのである。アイアースとオデュッセウスは接戦を繰り広げ、イーリオスの捕虜は、オデュッセウスに軍配を上げた。

アイアースは逆上し、怒りのあまりオデュッセウスなどの味方の諸将を殺そうとした。しかし、アテーナーはオデュッセウスを救うために大アイアースを狂わせ、羊を諸将と思わせるようにした。アイアースは羊を殺戮したが、ふと自分が殺したのが羊であったことに気がついた。神にあざむかれたアイアースは、神に嫌われギリシアの諸将も自分を評価しないことを嘆き、彼らのために戦うことの虚しさから自刃して果てた。この顛末はスミュルナのクイントゥスの『トロイア戦記』やソポクレースの悲劇『アイアース』に描かれている。なお、ソポクレースはアテーナーがアイアースを狂わせた原因を、戦場でアテーナーの庇護をアイアースが拒んだ高慢への罰であるとしている。
系図
脚注
- ^ 松原國師『西洋古典学事典』京都大学学術出版会、2010年、1,2頁。
- ^ 水谷智洋、平凡社、改訂新版 世界大百科事典『アイアス』 - コトバンク
- ^ 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』岩波書店、1960年。ISBN 9784000800136。2頁。
参考文献
- 木曽明子訳『アイアース』:ギリシア悲劇全集『第4巻 ソポクレース2』所収 岩波書店(2007年)ISBN 4000916041
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