執筆前の焦燥と打開とは? わかりやすく解説

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執筆前の焦燥と打開

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/05 08:22 UTC 版)

Kの昇天」の記事における「執筆前の焦燥と打開」の解説

1926年大正15年8月に、大手出版社新潮社雑誌新潮』の編集者楢崎勤から10月新人特集号への執筆依頼受けた梶井基次郎は、『青空同人中谷孝雄に「何だ君にいような気がするけど」と言いつつも、いよいよ文壇への足がかり機会得た張り切り締切日の9月5日向けて一生懸命になっていた。 しかし同年1月あたりから悪化しはじめていた持病結核が、夏の猛暑同人誌青空』の広告取り疲労蓄積でさらに進行し麻布医者から「右肺尖に水泡音(ラッセル)、左右肺尖病竈あり」と診断されていた。大阪市住吉区阿倍野町(現・阿倍野区王子町)の実家帰省し執筆作業取り組んでいた基次郎は、原稿締切日を9月15日まで延ばしてもらっていた。 基次郎は、以前路上』で記した線路沿いから見え家々内部光景惹かれるという挿話を、城東線運転手主人公にして小説化する構想を練るが、うまくまとまらずについに断念し9月13日夜行上京14日新潮社赴いて詫び行った(この未完の作品主題が、その後ある崖上の感情」となる)。 この時に新潮社から寄稿依頼され新人は他に、藤沢桓夫林房雄舟橋聖一久野豊彦尾崎一雄浅見淵らがいて、破約したのは基次郎けだった。基次郎新潮社からの帰り新し日記用に神楽坂相馬屋で紙を買って心機一転図ろうとした。この時期行き詰まり感や結核進行焦っていた基次郎は、毎晩寝床で「お前は天才だぞ」と3度繰り返し自信暗示をかけていた。 結局は一人破約者だつた、社長とか中村氏編集長中村武羅夫)とか 楢崎会話のなかへまじへる 僕の存在がそんな公人disturbしたと思ふとこそばゆかつた 結局重荷下りたのだ 原稿発表する機会を失つたといふ気持さらになし 況や原稿料といふ考へも。快豁新し出発 気持意識もそれに加わり 明るく明るくなつて行つた — 梶井基次郎日記 草稿――第八帖」(大正15年9月9月16日は、四谷区坂町(現・四谷坂町)の淀野隆三下宿で『青空』の同人が行われて次号のことを話し合うが、その際次号への作品発表申し出ると、外村茂は基次郎無視するような態度であった。『新潮』の原稿破約してしまったことへの不信からと思われたが、基次郎はそれを淋しく感じた。 そしてその夜麻布区飯倉片町(現・港区麻布台3丁目)の下宿において執筆取りかかるが筆が進まず就寝し、翌17日大雨の朝から本格始動した。しかし描写はかどらず夕方買物から帰った後から書簡体形式思いついた基次郎は、夜から調子乗ってきて徹夜し18日の朝にかけて一気に『Kの昇天』を書き上げた

※この「執筆前の焦燥と打開」の解説は、「Kの昇天」の解説の一部です。
「執筆前の焦燥と打開」を含む「Kの昇天」の記事については、「Kの昇天」の概要を参照ください。

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