問題の発覚と経緯
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 22:59 UTC 版)
2021年5月場所11日目(19日)、朝乃山が新型コロナウイルス感染症流行拡大による緊急事態宣言中(4月25日 - 5月11日、5月末まで延長) の4月30日、5月7日に神楽坂のキャバクラを訪れていたことが週刊文春により報道された。朝乃山は4月30日、男性2人と午後10時過ぎに入店し午前1時過ぎに店を出ている。5月7日には西麻布に向かい、午前3時ごろに高砂部屋に戻ったという。 この報道が事実であれば、日本相撲協会の新型コロナウィルス感染症対応ガイドライン 違反となることがある。相撲協会は番付発表後(5月場所は4月26日)からの4週間は力士たちに私的外出を禁じているためである。そのため、報道の前日(18日)に協会の尾車コンプライアンス部長(元大関・琴風)が朝乃山に事情聴取を行っていたが、朝乃山は「事実無根です」と答えていた。尾車部長は「後に事実だと分かれば大変なことになる」と念を押していたという。事実関係がはっきりしていないこともあり、19日の段階では休場しないとの発表であった。 だが、11日目(19日)の取組後、朝乃山はオンライン取材の場に現れなかった。週刊誌の記事内容と朝乃山本人の話に齟齬があったため、協会は師匠(8代高砂・元関脇・朝赤龍)同伴で再び朝乃山を聴取した。同席した顧問弁護士の求めでスマートフォンを調べたところ、残っていた位置情報から報道が指摘した日に店にいたことが判明した。問い詰められた朝乃山は一転して事実を認め、虚偽報告が明らかになったという。師匠の判断により、12日目(20日)より休場となった。 場所前、相撲協会は全力士に対してPCR検査を行っている(全員が陰性と同月3日に発表)が、朝乃山だけはその後の5月7日にも店を訪れていた。相撲協会の芝田山広報部長(元横綱・大乃国)は「万が一感染したら、お客様に対しても裏切り行為になる」と危機感を述べ、「こんなコロナ禍の大変なときに、大事な本場所に大きな穴を空けたということは重大な責任であります。協会の最高位である看板を背負っている本人が穴を空けたということには、重大な不祥事だということ」と語った。八角理事長(元横綱・北勝海)は結びの一番の3番前から始まる報道陣の電話取材で、「本当に申し訳ないと思っています。(取組が)1番、なくなるわけですしケガとか(が不戦勝負の理由)なら仕方ないけれど」「お客さんに本当に申し訳ない。こういうこと(を起こしたこと)で自覚が足りないというか…。お客さんに対して本当に申し訳ないです」と謝罪の言葉を述べた。同日の結び後、マスコミの取材に応じた錦戸審判部副部長(元関脇・水戸泉)が朝乃山の不祥事について、「ちょっと頭が痛い。優勝が懸かる終盤戦、あんなことで穴を空けるなんて、お客さんも残念だと思う。ケガだったら仕方ない部分もあるが…。若いというのもあるかもしれないが、大関という立場もあるのでね」と取組編成を担う部署としての困惑と悩みを口にしている。 虚偽報告の判明を受け、相撲協会はコンプライアンス委員会(青沼隆之委員長=元名古屋高検検事長)に詳しい調査と処分意見の答申を依属した。 22日、芝田山広報部長が電話取材に応じ、21日に朝乃山に対する聞き取り調査が行われたことを明かした。朝乃山が協会の新型コロナ感染対策ガイドライン違反を犯していたと判明したという。コンプライアンス委員会が本格的に事実関係の調査を進めており、場所後の27日の理事会の段階では処分については話し合われない。 6月4日、コンプライアンス委員会は会合を開き、「朝乃山の複数場所の出場停止」と処分意見をまとめたことが報じられた。相撲協会の関係者によると、朝乃山は引退勧告ではなく同月11日に開かれる臨時理事会で処分が決定することがほぼ確定的となった。2020年11月に部屋の師匠となった8代高砂が、自宅から通いの状態であることについても議論が及んだという。 同月11日には朝乃山が引退届を提出しており、預かりとなっていることが報じられた。
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