哲学に関する注釈
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/15 05:55 UTC 版)
「ヨハネス・ピロポノス」の記事における「哲学に関する注釈」の解説
古典古代後期から中世初期にかけての作品に対する注釈は読者に教えることを狙いとした。その点について、ピロポノスの注釈にみられる反復性によって彼の教育的な意識が説明される。抽象的な方法ではあるが、ピロポノスは問いにおいてその概念に主眼を置いていた。 ピロポノス初期の哲学を扱った作品はその多くが物体、延長、場所、そして様々な種類の変化の間の区別を定義することに努めている。例えば、注釈書『アリストテレスのいう世界の永遠性に対する反駁』ではアリストテレスの自然哲学の定式化された説明が書かれている。アリストテレスとピロポノスは二人とも変化の中には形式と物体の点で種類の違うものがあると主張した。 『自然学』において、アリストテレスは場所の概念とともに話を進めるが、空間が存在することを心から払いのけている。プラトンに由来し、アリストテレスが発展させた思想はピロポノスによって展開させられてきた。ピロポノスは均質空間という概念をアリストテレスの哲学体系と融合させることに努めた。実体は独力でそれ自体の存在に何らかの確定的な性質を要求するという主張がピロポノスによってなされた。非物質的なものを否定したアリストテレスと同様に、そして非物質的な実体を受け入れた形而上学を構築したプラトンとは対照的に、ピロポノスの実体の概念は物質的な対象について述べる。 空間の議論に関して、空間上のどの点からでも同一の図を描けると主張したことでピロポノスは後のルネサンスの学者たち、例えばピコ・デラ・ミランドラとガリレオ・ガリレイに影響を与えた革新的な思想家だと認知されるようになった。そのため、パースペクティヴに関するピロポノスの考えは、その中に物体が位置づけられるがそれ自体は物質ではない三次元的な媒体として空間という概念を表す。 『理性論』と題されている『霊魂論』第三巻でピロポノスは理性の教義を分析している。著者(ピロポノスまたは偽ピロポノス)は活動している理性の役割や機能に関する理論を置いている。一方では活動している理性が存在し、他方では知覚認識、つまり人がいかにして自分の近く内容を認識するのかに関する理論が存在する。言い換えれば、この反省的哲学では、自己と、知識の本性に関する議論を招くような真理との関係を強調する合理主義的な結論が存在する。 この考えによれば、知識はその対象と同一である、というのは知覚の自己認識は非理性的な魂からは分離しているからである。それゆえに知性とその対象との同一性を通じて理解が生じる。さらに言うと、知覚は物質的なもののみを扱うのである。 ピロポノスは化学において科学的・哲学的なアリストテレスの著作の中心的な問題を立てた。その著作は『生成と消滅』という題で混合(化学的結合)はいかにして可能なのか?という問題を考察している。この話題に対するピロポノスの功績は、判断基準の7つの構成要素の三番目にあたる可能態に新たな定義を与えたことにある。混合の理論には様々な解釈が存在するが、ピロポノスはアリストテレスのアプローチを否定するよりもむしろ洗練させたようである。混合の理論に関するピロポノスの作品解釈したものの一人であるデ・ハースは「構成要素は最上級の範囲を除いてそれに本質的な性質をもつことはできない」と述べている。
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