各地の十日えびす
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西宮神社(西宮市) 鎌倉時代の正元年間(1259年-1260年)にはすでに十日えびす祭の潔斎として忌籠祭(いごもりさい)がこの神社で行われていた。忌籠祭とは戸締まりし静寂を守り灯火も消し、籠もって夜明けを待つ神事。室町時代の『重編応仁記』によれば、中世の西宮市中の家々でも1月9日の夕方から忌籠祭がおこなわれていた。門松でえびす神が怪我をしないようにと、戦前まで「逆さ門松」の風習が残っていた。現在では禁忌の明けた10日午前6時に正門が開けられ、最初の参拝を競って約200メートルの参道を競走する開門神事福男選びが行われる。また、招福マグロを奉納するのが恒例となっている。 今宮戎神社(大阪市浪速区) 江戸中期頃から盛んになり、1675年(延宝3年)の大阪の町案内図『葦分舟』にその様子が描かれる。拝殿で笹を授かり、縁起物である吉兆・御札・小宝を付ける。 参拝者が小宝を自由に選び、福娘によって飾りつけられる。また宝恵駕籠奉納の行列が町内を練り歩く。 京都ゑびす神社(京都市東山区) 元来は建仁寺の鎮守の寺内神社であったものを、神仏分離に際して建仁寺寺侍が譲り受け宮司となった神社。十日えびすの縁起物である福笹の授受を初めて行った神社と言われる。 堀川戎神社(大阪市北区) 江戸中期頃より盛んになる。ミナミの今宮戎とキタの堀川戎が大阪の町の十日えびすを代表するようになる。 柳原蛭子神社(神戸市兵庫区) 昭和から始められる。先々代宮司の井上四郎が西柳原町内や柳原商店街や福海寺(柳原大黒天を安置)の協力をえて、西宮神社などの十日えびすの盛り上がりを参考にして始めた。 大阪天満宮(大阪市北区) 境内外社の大将軍社・蛭児遷殿にえびすが祀られる。十日えびすは戦後途絶えていたが、2006年に天満天神繁昌亭が開席されたのを契機に、上方落語協会会長の桂三枝(現・六代桂文枝)の意向もあり復活した。 智恩寺(京都府宮津市) 「文殊堂十日えびす」が行われる。日本三文殊のひとつであり秘仏の「丹後の切戸文殊」が開帳され、商売繁盛や学業成就が祈願される。 平塚三嶋神社(神奈川県平塚市) 江戸中期より東海道の通行や大山信仰として江戸や伊豆、房総半島から大勢の旅人が船で近隣の須賀港に寄港すると総鎮守である三嶋神社に参拝し道中の安全と心身の守護を祈願されるようになりおおきく栄えた。神奈川県で唯一、「新春えびすまつり」を毎年1月第3日曜におこなっている。 「新春えびすまつり」は福男福女の祈祷・笹の授与・運福まき神事(福娘による歌謡ショーののち福まき)がおこなわれる。境内では名物えびす鍋(漁師鍋)やミニフリーマーケットが実施される。
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