台湾への提供
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/07 01:03 UTC 版)
詳細は「:en:Tuan Tuan and Yuan Yuan」および「統一戦線」を参照 2005年、中華民国の野党である、中国国民党の連戦主席が中国本土を訪れた。その際、連主席と中国共産党とのあいだに行われた会談の一環として、2頭のパンダが台湾の人々への贈り物として差し出された。この2頭は後日、團團(中国語版)(トゥアントゥアン)と圓圓(中国語版)(ユアンユアン)と名付けられた。 この申し出に台湾の世論は好反応を示したが、台湾独立を掲げ、両岸統一反対を堅守する民主進歩党政権はこれに反発した。民進党にとってこのパンダの贈り物は、中国共産党が中華民国を統一戦線(英語版)へと引き込むための試みと映ったのである。台湾のいくつかの動物園はパンダの受け入れに名乗りを上げたものの、中華民国政府は、台湾の気候とパンダ飼育の専門知識を持ち合わせていないことを建前上の理由に、パンダの受け入れに反対した。この声明は、民進党政府の政治的思惑による、共産党政府から距離を置かんがための口実として受け止められた。これに加え、技術的な問題点として、ワシントン条約(CITES)との兼ね合いをめぐる論争があった。1998年、中華人民共和国は中華民国に対して休戦中の見返りとして2頭のジャイアントパンダの「贈呈」を打診した。共産党政府は、中国本土から台湾へのパンダの移動は国内輸送であり、ワシントン条約の適用外である主張したが、中華民国側はこれに異議を唱え、ワシントン条約の手続き無しにはパンダを受け入れられないとした。2006年3月11日、中華民国は公式にこの申し出を辞退した。陳水扁総統(当時)は、自身のメールマガジンである『阿扁總統電子報』において「阿扁は北京の指導者たちに、ジャイアントパンダを自然の生息地に置いておくことを心から求めている。なぜなら、檻の中で育てられたり、贈り物として与えられたパンダは幸せになれないからだ」と述べた一方、「ワシントン条約に照らして,無料、無条件でパンダを受け入れることは、台湾が中国の一部であることを認めることに他ならない」との見解も示した。 2008年7月に起きた政権交代ののち、政権与党となった国民党は、4歳となったジャイアントパンダ2頭を贈り物として中華人民共和国から受け入れることを表明した。同年12月、中華民国政府はパンダ2頭を「漢方薬の種」の名目で受け入れた。同月、トゥアントゥアンとユアンユアンは台北動物園に到着した。 この移送を受けてワシントン条約事務局は、パンダ2頭の譲渡は「内部または国内取引」の問題であり、常設委員会に報告する必要はないと述べた。中華民国はすぐさまワシントン条約事務局の声明に対する反論を発表し、国と国との間の転送プロトコルが尊重されていることを主張した。中華民国政府はまた、国内での譲渡であれば、このような手続きは必要なかったとしている。当局はさらに、台湾はワシントン条約の加盟国ではないため、パンダ2頭の受け入れを常設委員会に報告する義務はないとも述べた。
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