十進法導入以前
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/03 16:17 UTC 版)
「イギリスの紙幣と硬貨の一覧」の記事における「十進法導入以前」の解説
1971年の十進法導入以前には、12ペンス(「12d」と表記)が1シリング(「1s」ないし「1/-」と表記)をなし(十二進法)、20シリングが1ポンド(ポンド記号£を用いて「£1」と表記するが、しばしば大文字のLを代用して「L1」とする)となっていた(二十進法)。したがって、1ポンドは240ペンスに相当した。表記の際は、例えば2ポンド14シリング5ペンスは「£2 14s 5d」と記された。 一部の硬貨は時代によって価値が変動し、特に17世紀のジェームズ1世およびチャールズ1世の統治下(ステュアート朝前期)には著しい変化があった。ギニーの価値は、1717年12月に21シリングと確定されるまで、20シリングから30シリングの間で変動し続けた。グレートブリテン王国成立以降の初期のイギリスにおける(あるいは、スコットランドでは硬貨の名称に異なる価値が与えられていた場合があることを踏まえれば、その時期のイングランドにおける)硬貨の名称は以下の通りである。 十進法導入以前の硬貨名称英語表記額面価値ポンド単位の換算値使用された時期注記マイト Mite ¹/24d £0.0001736 テューダー朝時代 1マイトは1ペニーの24分の1、1ファーシングの6分の1、とされる。 クオーター・ファーシング Quarter farthing ¹/16d £0.00026 1839–1868. サード・ファーシング Third farthing ¹/12d £0.0003472 1827–1913. ハーフ・ファーシング Half farthing ¹/8d £0.00052083 1828–1868. ファーシング Farthing ¼d £0.00104167 c. 1200–1960. farthing の語義は「(ペニーの)4分の1」 ハーフペニー Halfpenny ½d £0.0021 1272–1969. しばしば「ヘイプニー (ha'penny)」と表記・発音される。コインを指す場合の複数形は halfpennies ("ha'pennies")、金額を指す場合は「ハーフペンス」ないし「ヘイペンス」 halfpence ("ha'pence")。 スリー・ファーシング Three farthings ¾d £0.0031 1561–1582. 1ペニー One penny 1d £0.0042 757–1970. 「copper(銅貨)」と通称された。コインを指す場合の複数形は pennies、金額を指す場合は pence。 スリー・ヘイペンス Three halfpence 1½d £0.0063 1561–1582, 1834–1870. 「スリー・ハーフペンス」とは発音しない ハーフ・ゴート Half groat 2d £0.0083 1351–1662. タペンス Twopence 2d £0.0083 1668 – 現在(銀貨:聖木曜日の洗足式の儀式用を含む): 1797–1798(銅貨) 「ツーペンス」とは発音しない スリーペンス Threepence 3d £0.0125 1547–1945(銀貨:以降は聖木曜日の洗足式の儀式用としてのみ使用):1937–1970(ニッケル黄銅貨) "thripp'nce"、"thrupp'nce"、"threpp'nce"、"thripp'ny bit"、"thrupp'ny bit" などの異称がある ゴート Groat 4d £0.0167 1279–1662(銀貨:以降は聖木曜日の洗足式の儀式用としてのみ使用):1836–1862(銀貨:以降は聖木曜日の洗足式の儀式用としてのみ使用) 経済学者で議員でもあり、この硬貨の再鋳造を強く主張したジョセフ・ヒューム (Joseph Hume、1777-1855) にちなんで、"joey" と称された。 シックスペンス Sixpence 6d £0.025 1547–1970(十進法移行後、1980年まで2.5新ペンスとして流通) "tanner"、まれに "tilbury" とも称された。ゴートが流通しなくなると、 "joey" とも呼ばれることがあった。 シリング Shilling 1/- £0.05 1502–1970(十進法移行後、1990年まで5新ペンスとして流通) "bob" とも通称された。 クオーター・フローリン(クオーター・ヘルム) Quarter florin or helm 1/6 £0.075 1344 金貨:1年足らずで廃止。 ゴールド・ペニー en:Gold penny 1/8 to 2/- £0.0833 から £0.1 1257–1265. 金貨:地金としての価値より額面が低かったため、極めて希少。 クオーター・ノーブル Quarter noble 1/8 £0.0833 1344–1470. クオーター・エンジェル Quarter angel 2/- £0.1 1547–1600. 金貨 フローリン(2シリング) Florin or two shillings 2/- £0.1 1848–1970(十進法移行後、1993年まで10新ペンスとして流通) ハーフ・クラウン Half crown 2/6 £0.125 1526–1969. "half a dollar" とも。この表の「クラウン」を見よ ハーフ・フローリン(レパード) Half florin or leopard 3/- £0.15 1344 金貨:極めて希少 ハーフ・ノーブル Half noble 3/4 から 4/2 £0.1667 から £0.2083 1346–1438 に鋳造 1464年以降、価値が上がる ハーフ・エンジェル Half angel 3/4, later 5/6 £0.1667、後には £0.275 1470–1619. ダブル・フローリン Double florin 4/- £0.2 1887–1890. 銀貨 クラウン・オブ・ザ・ローズ Crown of the rose 4/6 £0.225 1526–1551. クラウン Crown 5/- £0.25 1526–1965. 1940年代に米ドル4ドルが1ポンドであったことから、"a dollar"(「1ドル」の意)と通称された。 クオーター・ギニー Quarter guinea 5/3 £0.2625 1718, 1762. フローリン(ダブル・レパード) Florin or double leopard 6/- £0.3 1344. 金貨:1年足らずで廃止 ノーブル Noble 6/8、後に 8/4 £0.3333、後に£0.4167 1344–1464. 1464年以降、価値が上がる エンジェル Angel 6/8 £0.3333 1461–1643. ハーフ・マーク Half mark 6/8 £0.333 中世期 この額の硬貨は発行されていないが、単位として存在した。 サード・ギニー Third guinea 7/- £0.35 1797–1813. ローズ・ノーブル(リヤル) Rose noble or ryal 10/-、後に 15/- £0.5、後に £0.75 1464–1470, 1487, 1553–1603. 1553年以降、価値が上がる ハーフ・ソブリン Half sovereign 10/- £0.5 1544–1553; 1603–1604; 1817–1937 金貨:1980年以降は地金型金貨扱い ハーフポンド Halfpound 10/- £0.5 1559–1602; 1642–1644 ダブル・クラウン Double crown 10/- £0.5 1604–1619; 1625–1662. ハーフ・ローレル Half laurel 10/- £0.5 1619–1625. ハーフ・ユナイト Half unite 10/- £0.5 1642–1643. ハーフ・ギニー Half guinea 10/6 £0.525 1669–1813. マーク Mark 13/4 £0.667 [medieval period] この額の硬貨は発行されていないが、単位として存在した。 スパー・リヤル Spur ryal 15/- £0.75 1604–1625. ソブリン Sovereign 20/- £1 1489–1604; 1817–1937 金貨:1957年以降は地金型金貨扱い ユナイト Unite 20/- £1 1604–1619; 1649–1662. ローレル Laurel 20/- £1 1619–1644? カロラス Carolus 20/-、後に 23/- £1、後に £1.15 チャールズ1世治下の一時期 ブロード Broad 20/- £1 1656. ギニー Guinea 21/- £1.05 1663–1799, 1813. ローズ・リヤル en:Rose Ryal 30/- £1.5 1604–1625. 2ポンド Two pounds 40/- £2 1823–1937. 2ギニー(ダブル・ギニー) Two guineas or double guinea 40/-、後に 42/- £2、後に £2.1 1664–1753. 当初は40シリング ("forty-shilling piece")=2ポンドの額面であったが、1717年に1ギニー=1ポンド1シリングと定められて以降、42シリング=2ギニーとして扱われた。 50シリング Fifty shillings 50/- £2.5 1656. トリプル・ユナイト Triple unite 60/- £3 1642–1644. 5ポンド Five pounds 100/- £5 1826–1990. 金貨 5ギニー Five guineas 100/-、後に 105/- £5、後に £5.25 1668–1753. 当初は5ポンドの額面であったが、1717年に1ギニー=1ポンド1シリングと定められて以降、5ギニーとして扱われた。 表中の注記 ^ a b c d 主にセイロン、マルタ、西インド諸島などの当時の植民地で使用されたものであるが、通常はイギリスの貨幣の一部として扱う。 ^ a b c d e 中世における同名の通貨(フローリン、ハーフ・フローリン、クオーター・フローリン)は、イングランド国内のみならずヨーロッパにも流通させるべく鋳造された金貨であり、ヴィクトリア朝以降のフローリン、ダブル・フローリンより遥かに価値が大きかった。中世のフローリンは、1年足らずで廃止になったが、これは金の含有量が不十分で、商人たちが受け取りを拒んだためであった。 1915年のハーフ・ソブリン 1560–61年のハーフポンド。イングランドで製造された最初期の硬貨のひとつ。 1740年の2ギニー
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