利根勝久とその関係者
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「護られなかった者たちへ」の記事における「利根勝久とその関係者」の解説
利根 勝久(とね かつひさ) 昭和60年1月28日生まれの30歳。出稼ぎに行ったまま音信不通で父親は物心つく頃からおらず、母親は高校を卒業する頃に男を作って出て行ったため、愛情を知らずに育った。 執行猶予がついたため実刑にはならなかったが、過去にヤクザの須藤を意識がなくなるまで殴打したことで逮捕されたことがある。22歳だった2007年12月8日、塩釜福祉保健事務所で窓口業務に従事していた三雲忠勝(当時33歳)に殴りかかり、全治2週間の怪我を負わせたうえ、同日深夜に塩釜福祉事務所庁舎の裏手に放火。現住建造物等放火罪で起訴され、検察から懲役10年を求刑される。動機については「知人である遠島けいの生活保護受給の件でむしゃくしゃしていました」としか語らず、弁護士も情状酌量を訴えるだけで積極的な弁護をしなかったため、求刑通りの懲役10年の判決がくだり、控訴はせずに服役する。刑務所では旋盤技術を磨き、機械加工技能士二級に合格した。 櫛谷 貞三(くしたに ていぞう) 利根の保護司。警察OBで退官後、しばらく地区の民生委員を務めてのち、保護司として10年以上のキャリアがある。笑った顔は好々爺。女房には先立たれ、築年数の経過した建売住宅に1人で住む。 坂巻(さかまき) 坂巻鉄工所の所長。櫛谷の人格に惚れて信頼しているため、頼まれて利根の面接をするが、利根の前科の内容を聞き、態度を変える。 碓井(うすい) 利根の現勤務先・港湾労働「大牧建設」の現場監督。利根が前科持ちなのは知っている。50がらみのごま塩頭で、顔は温厚。言葉遣いと態度は悪いが、妙にさばけたところがあり、作業員の信頼を勝ち得ている。 五代 良則(ごだい よしのり) 利根が刑務所の中で知り合った男。36歳。良くいえば陽気、悪く言えば軽佻浮薄。細面に理知的な目をしている。元ヤクザで前科は詐欺罪。不思議とウマが合ったため、利根より先に出所した後、〈エンパイア・リサーチ代表〉と書かれた名刺を利根に送り付ける。調査会社と謳っているが、実情は社員にデータを持ち出させて売買する名簿屋。 過去 須藤(すどう) ヤクザ。行きつけの定食屋で利根と隣り合って殴り合いになった。 遠島 けい(とおしま けい) 80を過ぎていると思われる老婆。顔中に深いしわが走り、眼窩は落ち窪んでいる。息子夫婦がいたが、車の事故で孫と一緒に亡くなった。6つ違いの弟がいるが、20年近く没交渉。元看護師だが、規定を満たす就労期間ではなかったため年金はもらえず、貯金を切り崩す切り詰めた生活をしているが、楽天的なのか逞しいのか、いつも気力が漲っている。都合が悪くなるとそっぽを向く。 須藤にお礼参りをされ、気を失い倒れた利根を助け、家に連れて帰り、ご飯を食べさせる。 カンちゃん 遠島けいの3軒隣りに住む近所の男の子。母親・久仁子(くにこ)の夜の仕事が終わるのが遅いため、遠島けいの家に預けられている。童顔で背も低いため小学生に見えるが、実は中学生。 登坂(とさか) 利根が働いていたトサカ鉄工所の人情派社長。暴力沙汰を起こした利根を辞めさせようともせず、裁判にも足を運んだ。面倒見はいいが、経営者には向かない。 神楽(かぐら) 60歳前後で温和な笑顔が印象的な男だが、実は地元暴力団の下部組織。トサカ鉄工所に低金利で融資したが、その後トサカ常務取締役の座におさまり、外部から次々を連中を招き入れ、登坂から経営権を奪う。
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