価格と金融政策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/10 09:22 UTC 版)
「ウズベキスタンの経済」の記事における「価格と金融政策」の解説
ウズベキスタンは独立後すぐの1992年から1994年にかけて、年間約1000%の急激なインフレーションを経験した。ウズベキスタンにおける最初の通貨交換はソビエト連邦時代に使用された「概念上の」ルーブルであり、後継の暫定通貨として「旧スム」が1993年11月に導入され、ルーブルと同価値として換金された。1992年初めには1米ドル=100ルーブルだったが、1994年4月半ばには1米ドル=3627ルーブル(もしくは旧スム)にまで価値が下落した。1994年7月1日、「旧スム」は1000スム当り1新スムで交換され、新しい国内通貨の変換レートは当初1米ドル=7新スムに設定されたため、1994年4月半ばから半分の価値となった。1994年の7月から12月において国内通貨が1米ドル=25スムになった。その後もさらに急速にインフレが進み、2002年12月まで換金レートは1米ドル=969スムとなり、独立宣言直後の換金レートと比較して約138分の1にまで下落した。この時点を境に政府の通貨安定化プログラムが功を奏して実際のスムの減価償却は止まり、同時にインフレ率も大幅に減少した。続く4年間 (2003–2007) でスムの対米ドル換金レートは1.33倍に増加し、2012年5月時点では約1865スムにまで価値が下落している。 1996年から2003年春まで、公式、そして通称として用いられてきた(中央銀行により管理が行われている)「商業用」為替レートはかなりの過大評価となっていた。多くの企業や個人は法的には「低い」為替レートでドルを始めとする各国の通貨を買う事ができず、このために為替の闇市場が広く発達している。公式レートと闇市場のレートの差は特に1998年8月のロシア経済危機後に大きく広がり、1999年の終わりには公式レートの1米ドル=140スムに対し、闇市場のレートは1米ドル=550スムとなり、約4倍の開きが出ることになった(1997 - 1998年前半時点では2倍)。2003年半ばまでに、政府の安定自由化の努力によって闇市場と公式、そして商業為替レートのギャップは約8%にまで減少し、2003年10月以降スムの兌換性によりこのギャップは急速になくなりつつある。今日、4つの通貨(米ドル、ユーロ、ポンド、円)はすべての都市にある商業ブースにおいて自由に交換可能である一方で、ロシアのルーブルやカザフスタンのテンゲを含む他の通貨は不当な金額を持ちかけることはない個人業者 (闇市場) により売買がなされていた。2003年10月以降の為替制度は「制御された変動金利」という言葉で特徴づけられる。貿易制度の自由化はウズベキスタンにとってIMF金融プログラムへと進むための前提条件となっている。2012年、「闇市場」の為替レートは再び公式のレートよりも急激に高くなり、公式の米ドル=1865スムに対し1米ドル=2850スムとなった (2011年6月時点)。通貨売買を行う業者がバザールの付近で仕事を行うことから、この急激な変化はしばしば「バザール・レート」と呼ばれた。 2017年9月、ミルジヨエフ大統領により通貨スムの交換レートを一本化し、外貨売買の自由化を実施した。それまでは公定レートと闇レートが併存しており、公定レートは1ドル=4,000スム、闇レートは8,000スムだった。これを1米ドル=8,000スムに統一するとともに、このレートで自由に外貨を買えるようにした。企業は、ウズベキスタンで商品を販売し、スムで得た利益を銀行で外貨に交換し、外国送金できるようになった。 これまでは、例えば、医薬品や日用品を外国から買い付けるには、闇市場で1米ドル=8,000スムで外貨を調達して、代金の3割はウズベキスタンから支払い、残りの7割はバルト3国から送金するなどの手段を用いていた。コンプライアンス上も、いろいろ問題があった。 ただし、ドルが自由に購入できるのは法人だけで、個人ではまだ自由にドルの現金は買えない。個人の場合には、デビッドカードのようなものにドルがチャージされる。4半期当たり5,000ドル、年間2万ドルまで許可されている。外国のホテルなどでは、このチャージされたカードで支払いをすることができるようになっている。 徴税システムとしての政府の銀行システムが未だ健在であるため、税率は依然高いままである。世界銀行やアメリカ合衆国財務省の技術援助部局、UNDPからの技術援助は中央銀行や財務省を市場指向型の財政や金融政策を導入可能な機関へと変貌させるために行われている。
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