作家のイデオロギー
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「アルムデナ・グランデス・エルナンデス」の記事における「作家のイデオロギー」の解説
アルムデナ・グランデスはエル・パイス紙に定期的に寄稿しているコラムニストで、カデーナ・セールのオイ・ポル・オイのレギュラー出演者である。2011年スペイン議会総選挙では統一左翼に公的支援を示したことで、彼女は政治的に左派として知られている 。彼女が現在の政治情勢について行った最近の発言に関して、2015年スペイン議会総選挙では「どこの党も支持しなかった」と主張した。というのは、彼女の視点によると、現時点で彼女のイデオロギーを代表する党がないからである。 著者はまた、スペインは前世紀の最初の10年間を通じて、「悪趣味で頑固」な国になったことを指摘している。社会は、彼女の意見によれば非常に不快で鈍感である。消費主義と物質主義の幻想に埋もれて、他人の苦しみに無関心な人々で満ちている。 最新作のLos besos en el pan (2015)は、2008年のスペイン危機(すべての社会階級を構造的に揺るがした)に焦点を絞った小説で、「私たちの祖父母のように、再び尊厳を持って生きる」という考え方を示している。この考えは小説にとって非常に重要だ。なぜなら、「貧困(スペインに常に存在していた)を受けとめるための謙虚さを取り戻す必要性が祖父母と孫達との間の対話形式で表されているからだ。これは貧困との闘いであるが、喜びと希望の入る余地のない闘いであってはならない」。 戦後とスペインの移行期のテーマに関しては、彼女の作品の中心となっているテーマである。最も普及している公的文化(スペイン内戦と戦後の期間に関して)には「祖父母」の世代が維持していた寡黙で回避的な解釈と大きな関係がある。この解釈を見聞きしてその後の世代は育っている。彼女の意見によると、その後の世代の人達はこの世代の沈黙のせいでスペインの現代史を完全に理解することができなかった。 著者の発言によれば、フランコ政権は恐怖を段々とまき散らし、体制作りに成功した典型的な独裁政権だった。誰も運動を起こしたり物事を変えたりしないように、政府はあらゆる手段で抑圧した。スペインの民主化移行期は、世界中の国々、特にラテンアメリカでモデルとして示された。制度的観点からは、彼女の意見では、独裁政権から民主主義への移行期は前代未聞で模範的な、確かで本物の民主主義を導入し、前例のない成功を収めた。しかし、作者は、道徳的観点からは、民主主義導入後30年経った今も、後の世代にとってイデオロギーについて言えば、移行期は失敗に終わっている。「1970年代に設けられたゲームのルールを無視されている」。とはいえ、グランデスは次の意見に同意している「その世代(移行期)は、その世代がしなければならないと思ったことを正直に行った」。 2010年4月に公開されたインタビューの中で、著者は、文学は「生きている人々にとって命です。自分自身の人生に加えて他の多くの人生を生きることを可能にします」と主張した 。 彼女の意見では、文学は「読者に翼を与え、現実よりも高い所へ引き上げてくれます」それゆえ、彼女は人生で多くのことを学んだが、それ以上に彼女が読んだ本からは多くのことを学んだと言っている。 さらに、ほかの歴史について聞いたり他者の人生について学ぶ必要性を本能的に感じるが、それが人間を読むことへ後押しする力になっていることも強調した。 同時に、著者は同じインタビューで、言葉は思考の表現であると述べている。「私たちが言うことのできるのはそれだけです。私たちが物事を命名する言葉を失えば、それらのものも失っていることになるのです。人々は、貧弱な言葉が思考や経験および人生の楽しみをどれだけ貧弱にしているかを理解していません」」。彼女の文学と彼女の読者が彼女に呼び起こす情熱に関して、彼女は同じく2010年のインタビューで付け加えていた。「わたしの読者は私の自由を意味します。読者がいる限り、私は他の人が、私が書くべきだと思う本の代わりに、私が書かなければならないと思う本を書き続けるでしょう。しかし、私は本を書くとき、私自身が感動するために書くのです。読者でもある(最も批判的である)私を納得させるために。また、読者を感動させるためにも書きます。彼らが私に与えてくれた全てのものに対して、何らかの形でお返しするために。なぜなら、読者の皆様は、一生私の肌なのですから」。
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