余嘉錫
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/11 09:12 UTC 版)
余嘉錫 | |
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プロフィール | |
出生: | 1884年(清光緒10年) |
死去: | 1955年![]() |
出身地: | ![]() |
職業: | 歴史家 |
各種表記 | |
繁体字: | 余嘉錫 |
簡体字: | 余嘉锡 |
拼音: | Yú Jiāxí |
ラテン字: | Yü Chia-hsi |
和名表記: | よ かしゃく |
発音転記: | ユー ジアシー |
余 嘉錫(よ かしゃく)は、清末から中華民国の歴史学者、文献学者である。字は季予、号は狷庵。
経歴
父の余嵩慶は1876年(光緒2年)の進士で、嘉錫はその四男として、1884年(光緒10年)、河南省商丘県に生まれた。
嘉錫は、幼年より五経や四史(『史記』『漢書』『後漢書』『三国志』)『楚辞』・『文選』等の勉学に励み、14歳の時には『孔子弟子年表』を作り、15歳で『呉越春秋』に注した。16歳の時、張之洞著『書目答問』を読み、同著の『輶軒語』を読むに及んで、『四庫全書総目提要』を知り、翌年、父によって「四庫提要」を買い与えられた。その後、50年余にわたり、本書の考証を継続し、『四庫提要弁証』を撰した。
1901年(光緒27年)に挙人に選ばれた。その際の考査官は、『新元史』の撰者である柯劭忞であった。一時、北京に上るも、父の喪に服するため、帰郷して故郷の中学・師範学堂で教えた。
辛亥革命以後、自ら狷庵と号した。後に再度上京し、柯劭忞の紹介によって、清史館総裁趙爾巽教授のもとで『清史稿』を校閲した。1927年には、夫人の陳福彩が死没し、嘉錫自ら墓表を作り、二度と再婚しなかった。
1931年、創設後まだ間のない輔仁大学に教授(国文系主任)として招聘され、陳垣と邂逅した。
1942年冬、輔仁大学の文学院院長に就任した。1948年には中央研究院の院士に選ばれた。が、翌1949年、その文章が「封建的」であると政府から非難を受け、解任された。1952年、脳溢血で倒れ、1955年に没した。北京市阜城門外の西黄村福田公墓に葬られた。
嘉錫は、自著に署名する時、「武陵余嘉錫」と記している。これは、出生地である常徳県の古地名を用いたものである。また、張起鈞によれば、嘉錫が人前で笑うことは、黄河が澄む程に稀である、と例えられたほど、狷介な人柄であり、阿諛追従を極度に嫌悪し、時局に迎合するのを好まなかったという。
著書
伝記資料
- 牟潤孫「学兼漢宋余季予先生」(『海遺雑著』中文大学出版社、1990年)
- 周祖謨・余淑宜「余嘉錫先生伝略」(『余嘉錫文史論集』岳麓書社、1997年)
参考文献
- 古勝隆一・嘉瀬達男・内山直樹訳注『古書通例 中国文献学入門』(平凡社<東洋文庫>、2008年) ISBN 9784582807752
- 古勝隆一・嘉瀬達男・内山直樹訳注『目録学発微』(平凡社<東洋文庫>、2013年) ISBN 9784582808377
関連項目
余嘉錫
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中華民国の学者である余嘉錫は、朱彝尊『経義考(中国語版)』や『四庫提要』、『校讎通義』、姚振宗『七略別録佚文』、孫徳謙『劉向校讐学纂微』といった清朝以来の目録学の蓄積を利用しながら、『目録学発微』を著した。『目録学発微』は以下のような構成になっている。 目録学の意義とその効用歴史上の目録が、部門ごとの小序(分類の歴史を記すもの)と書物ごとの解題を備えているかどうかに着目しながら、目録の意義と効用と説き、合わせて「目」と「録」の字義を追究する。 目録学の体制目録中における篇目(書物の篇名を記すこと)、叙録(書物ごとの解題)、小序、版本明記の重要性について、膨大な例を挙げながら先行の理論とともに研究している。余嘉錫は劉向・劉歆が『別録』『七略』において示した体例が非常に優れていると考えており、これを発展させることで理想の目録を考察した。 目録学の歴史歴代の目録について綿密に史料を挙げながら考証しており、現代でも資料集として利用できるものである。 目録学の分類体系の変遷以上の議論を整理し、目録学史の流れを大きくまとめている。目録の起源、『七略』の完成、四部分類の登場、南朝の分類などが分類の変遷という観点から論じられている。 この本は、従来系統的な記述や入門書に乏しかった目録学についての総論であり、教育的効果を期待して書かれたものである。実際、近代の大学の教科書として用いられた。
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